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【日刊マンガガイド】『すしいち!』第1巻 小川悦司

2014/09/03


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『すしいち!』第1巻
小川悦司 リイド社 \552円+税
(2014年7月28日発売)


読んで字のごとく、寿司を題材としたマンガの第1巻。
中華一番!』の作者である小川悦司の最新作と聞けば、そのタイトルにも合点がいくかもしれない。

舞台は黒船来航から数年後の江戸時代末期。この頃は握り寿司が誕生して半世紀が経ち、町中いたるところに寿司屋が並んでいたのだという。
そのなかでも寿司屋ばかりが軒を連ねる、寿司屋横町で腕をふるう天才寿司職人鯛介。彼の寿司はただ旨いだけではなく、食べると幸せな人生が訪れるという「奇跡の寿司」なのだ。

『中華一番!』を読んだことがある人であれば、まるでバトルマンガのように荒唐無稽かつ過剰な演出の料理手法や世界観を思い浮かべるかもしれないが、本作はそのイメージと違い、江戸の市井が落ち着いた世界観で描かれている。
寿司を題材にしたマンガと言えば『将太の寿司』が代表的な存在だが、主人公がライバルと戦いながら寿司の腕を高めていく『将太の寿司』に比べ、『すしいち!』は天才職人の握る寿司が、心のすれ違った夫婦や心がばらばらの奉行所役人たちの心をひとつにするという、ヒューマンドラマ要素が強く出た作品だ。言うなればグルメ旅行に旅立つ前、食べ物で人生を説いていた頃の『美味しんぼ』や『ザ・シェフ』に近い。

とはいえ『中華一番!』を受け継ぐ、ド派手な表現力は健在。鯛介の寿司を食べた人はそのうまさのあまり裸になって魚にまたがったり、自分が寿司ネタになったり、または寿司に抱かれたりと、「うまさ」を表現する手法もこの作品の醍醐味だ。
読み続けているとついつい「この寿司を食べたらどんなことになるんだろう」と、寿司を口に入れる瞬間を楽しみに待ってしまう。

グルメマンガでもっとも大事な料理の描写も抜群だ。ぷりぷりの海老や柔らかく煮上がった蛤、ふっくら仕上げた穴子など、どれも見るだけで寿司が食べたくなること間違いなし。
グルメとヒューマンドラマが一体化した本作は、寿司好きはもちろん、グルメマンガ好きにもおすすめの1冊だ。

ちなみに単行本1巻発売を記念したイベントも企画されており、東京すしアカデミーが主催する握り寿司入門講座に参加したのち、作者である小川悦司先生を交えた食事会にも参加できる「すしいち! 江戸前握り体験」に、単行本購入者から抽選で10名が参加できるという。
本作を読んで寿司を食べるだけでなく握ることにも興味を覚えたら、ぜひこのイベントにも応募してみてほしい。



<文・甲斐祐樹>
IT系ライターながらマンガも大好き。著書は「スマホ&タブレット“二刀流”仕事術。」「Chromecastの使い方」など。個人ブログは「カイ士伝

単行本情報

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