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『KEYMAN』 第13巻 わらいなく 【日刊マンガガイド】

2017/04/18


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『KEYMAN』

  
KEYMAN_s13

『KEYMAN』 第13巻
わらいなく 徳間書店 ¥620+税
(2017年3月13日発売)


世界観から絵のタッチに至るまで、アメコミ的なアプローチが話題となった本作もついに最終巻。スタート当初からは想像もつかなかったであろう、その濃厚な物語を最後まで見届けていただきたい。

1920年代頃のアメリカをモチーフにした架空の都市・ロックヴィルシティを舞台とし、当初はアメコミヒーロー然とした“キーマン”の痛快な物語かと思いきや、次第に際立つこととなったのは獣人種に対する偏見と差別の問題。
そんな、ともすれば重たくなりすぎるかもしれないテーマを、ティラノサウルスの獣人種である主人公・アレックスのアナクロな“ザ・刑事”というべきキャラクターによって絶妙なバランスを保っていたわけだが、彼に協力していた魔女・Dr.ネクロこそがキーマンをつくりあげた張本人であり、それが獣人種誕生のきっかけでもあったことが判明したあたりからは、一気にダークファンタジー路線をまっしぐら。

人々の獣人種への差別意識を利用した支配者階級の資金集めといった描写もじつにエグかったが、いわゆるラスボスである悪魔・バトラーとの戦いを前に、次々とアレックスが仲間を失っていく展開にも愕然。
特に自らが獣人であることに強いコンプレックスを抱いていたウォルターの裏切りは、ただならぬ重い背景も含めてショッキングですらあった。


そんな絶望感と悲壮感どっぷりで迎えた最終巻だが、まさかまさかの大団円。
何がどうなるかをここで語るのは野暮というものだが、単にハッピーエンドというだけではなく“自らの出自を呪わず、それを背負って生きていく”という獣人種たちの歩みにもグッとくることだろう。
なお、ラストには単行本描き下ろしの後日譚も収録。ここだけ切り取ればゆるゆるのほのぼのコメディだが、ここまでの展開を踏まえれば、こんな平和な未来を心から祝福したくなるというものである。

本編のハードな展開もさることながら、掲載誌の長期休刊といった外的なアクシデントにもハラハラさせられた本作。ひとまず、見事な完結に拍手を送りたい。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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