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『ヒストリエ』 第10巻 岩明均 【日刊マンガガイド】

2017/04/28


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ヒストリエ』

  
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『ヒストリエ』 第10巻
岩明均 講談社 ¥600+税
(2017年3月23日発売)


とにかく単行本の刊行ペースがゆっくり(ここ数巻は2年弱に1巻ぐらい)であるがゆえ、新刊が出るたびに既刊分を読み直すという行為が、もはやある種の儀式めいてきた本作。
しかし、そんな待たされた時間もご褒美に思えるほど、今回も濃厚なドラマに打ちのめされること必至。端的にいえば“さすが”の内容である。

最新刊は前巻に引き続き、西洋史において非常に有名な“カイロネイアの戦い”が本格的に描かれる。
だが、その扱いは意外と淡々とした印象なのも『ヒストリエ』らしい。
ひとつにはほかの作品でもここは描かれることが多いこともあり、基本的な史実上の出来事の多くが端折られているというのもあるが、本作は“戦いは我を忘れて熱くなったほうが負け”というのが基本ラインのため、視点は客観的であるのが常だ。
しかし、そんな淡々とした切り口でありながら、そこで起きていることは“めちゃめちゃヤバい事態”であるのも岩明均作品の特徴のひとつ。
今回もアレクサンドロス王子の内なる狂気が、淡々と描かれるがゆえにより恐ろしい。
史実で後になにが起きるか知らない読者でも“こりゃあこの先、ロクなことが起きないだろうな……”と予感させるに充分である。

そしてカイロネイアの戦いが終わったあとは、“自由”を求めて揺れ始めるエウメネスに大きな変化が訪れることが示唆される不穏な展開。珍しく感情をあらわにする描写が白眉だが、続きが気になりすぎるところで次巻へ……。

単行本派の人が続きを読むのはしばらく先かと思われますが、続刊をじっくりと待ちましょう。
せっかくなので、待っている間に史実をあらためて学習しておくと、きっとより楽しくなると思いますよ。

<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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