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今回紹介するのは、『放課後アサルト×ガールズ』

『放課後アサルト×ガールズ』 第3巻
高田慎一郎 ほるぷ出版 ￥570+税
（2017年3月9日発売）

魔法少女に憧れている熱血高校生・綾子。幼なじみで図々しいところのあるハルカ。
2人がいる教室の女子生徒は、ゾンビのような兵士が銃弾を撃ちあう荒野に飛ばされた。
彼女たちの前に現れたのは、狐耳の軍人少女・サキ。少尉らしい。
綾子たちは窮地を抜けるため、帰る道を探すため、サキの指示に従って、特殊な力で兵士に変身する。

かなり変化球のミリタリー異世界モノの第3巻目。
兵士の仕組みは、非常にゲームっぽい。
突撃兵は攻撃に特化した銃や技能を取得、ライフは3。
工兵は特殊空間に大量の荷物を入れて運ぶことが可能で、ライフは1。
戦っている相手はゾンビのような物体なので罪悪感はあまり湧かない。
緊迫感はあるものの、とてもソフトだ。

いつも明るいみんなのムードメーカー・ハルカは、ポジティブな親友の綾子とともに、みんなで元の世界に帰るため、先頭をきって戦ってきた。
しかしサキについていっても、途中で現れた中佐のシマに話を聞いても、「やっぱり帰れない」。
いいかげん第3巻でキレてしまう。

「ここに行けば大丈夫」「あれさえどうにかすれば帰れる」「何度振り回されればいいの？」
綾子とハルカ抜きだったらこのクラスはまとまらないくらい、みなが生き延びるための中心人物。
とはいえ彼女も普通の、重火器とは縁遠いはずの女子高生だ。

ただし、ハルカの行動は幼い反発ではないのがキモだ。
もうひとりの友人偵察兵・マチはいう。
「脱走とか敵前逃亡とか　そういうのじゃないみたいよ　サキとシマちゃんに不満があるだけで　みんなと離れる気はないとか」
サキやシマのような軍人たちでさえ、何が起きているのか、どうすればいいのかわからない局面が迫ってきている。
戦車まで登場してしまった今。サキやシマの指示に従うだけじゃなく、先回りして、作戦を練って、行動していく段階だ。

1、2巻では綾子が、深く考えず正義感だけで突っ走っていた。
彼女はライフが3あるから、まだ安心して見られる。
けれども、みんなの英気を盛りあげるのも、作戦立てるのもうまいとはいえ、ハルカのライフは1だ。
その差は、物語の方向に大きく影響していきそうだ。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」