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『ソマリと森の神様』 第3巻 暮石ヤコ 【日刊マンガガイド】

2017/05/08


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ソマリと森の神様』

  
SomaritoMorinoKamisama_s03

『ソマリと森の神様』 第3巻
暮石ヤコ 徳間書店 ¥580+税
(2017年3月18日発売)


人間の少女ソマリは、森を守るため徘徊していたゴーレムのことを「おとうさん」と呼んだ。 ゴーレムはソマリを連れて、人間を探す旅に出る。

人間と人外が共存できなかった世界のハイファンタジー。
2人の旅をロードムービー的に描いているのだが、なんせ描かれている世界の事情はあまりにも厄介だ。

現在マジョリティなのは、人外側。人間はほぼいない。
もともと、人間と人外が出会ったばかりの時は、友好関係を築こうとしていた。
ところがいつの間にか差別が起きて決裂。戦が起きたものの、人外の力にかなうわけもなく、人間はどんどん殺されていった。
今では“ヒト狩り”が行われる。ペットにするためだったり、食べるためだったり。
ごくわずかに残された人間側は、こっそり隠れて、常に怯えっぱなしだ。

ソマリは人間。だから表立って普通の格好で歩かせるわけにはいかない。
角の生えたフードをかぶって人外を装い、ゴーレムが彼女を守り続けている。

人間・人外間の問題を描くファンタジー作品として、ここまで徹底的に人間が虐げられているのも珍しい。
コミュニケーションはほぼ成立していない。
そこで、どちらでもないゴーレムの存在が光る。
感情がないためフラットで、どちらの味方でもなく、怪しまれない。
ゴーレム視点で、人間側と人外側の思惑がうまく客観的に描かれる。

第3巻では砂漠を渡るハルピュイアのウゾイと、人間のハイトラの2人組に出会い、ともに旅をすることになる。
一見珍しい共存関係に見えるが、実際は種族間の問題がものすごく複雑なのを、逆に浮き彫りにしている。
人間・人外、それぞれ相手の“生命”の捉え方に、差がある。

共存のための話しあいと、生命を守る譲歩が必要なのだが、今はその糸口がまったく見えない。
そもそも、ソマリがゴーレムと人間の里に行ったところで、幸せになれるようには、現時点では思えない。
だから、このマンガは続きをどう描くのか気になる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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