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『あげくの果てのカノン』 第3巻 米代恭 【日刊マンガガイド】

2017/05/31


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『あげくの果てのカノン』

  
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『あげくの果てのカノン』 第3巻
米代恭 小学館 ¥552+税
(2017年4月12日発売)


「なんでそうなっちゃうの……それは……ダメでしょう……」
……あっ、そうか。
物語が情熱的すぎて、“不倫は一般的にダメ”という簡単な事実を忘れかけていた。

地球規模に壮大な事態でいて、ひとりの恋愛規模ほどに小さい、SF不倫コミック。
第3巻では人間関係ドロドロ話の域をはるかに飛び越えて、世界の危機の話題に突入。

地上を脅かす異星生物“ゼリー”と戦う、英雄的存在・境宗介。
フラれたのに彼のことをずっとストーキングし続けている、後輩の高月かのん。
宗介の戦闘は、ケガがつきもの。身体が“修繕”されるたびに、記憶や人格が変わってしまう。
彼は研究者の初穂と結婚していた。ところが、性格がどんどん変わっていったせいで、かのんに近づくようになっていく。
かのん側としては、いけないことだと思いつつも当然うれしい。
ついつい宗介の甘い言葉に惑わされてしまい、第3巻ではついに北海道に不倫旅行をしてしまう。

アウト! アウトだよかのん!

ものすごく厄介なのが、不倫行為においてだれかひとりが悪いわけじゃなく、同時に全員が道を踏み外してしまっていること。
もっとも責められるべきは宗介なのだけど、感情が完全に書き換わってしまっているので、かのんに対しての想いも本物だから困る。

逆にかのんは、びっくりするほど変わらない。
第1巻からずっと、挙動不審なストーカーなまま。
第3巻では初穂と同じ髪型にして“先輩の奥さんごっこ”をするなど、奇行はエスカレート。
「何があろうと先輩が好き」という点はものすごく強靭。そこが今までは、見ていて応援したくなる部分だった。

ところが第3巻で、やってはいけない部分に踏みこんだことで、世界が一気に崩れていく。
冒頭にあげた母親の言葉で、彼女はようやく目を覚ます。

“セカイ系(世界の動きと個の感情がつながって描かれる作品群)”の文法を受け継ぎながら、キャラクターの心理描写にゾッとさせられる第3巻。
感情の狂いが世界の破滅につながっていく感覚は、ぜひともリアルタイムで追ってほしい。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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