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『どんぶり委員長』 第4巻 市川ヒロシ 【日刊マンガガイド】

2017/06/04


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『どんぶり委員長』

  
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『どんぶり委員長』 第4巻
市川ヒロシ 双葉社 ¥600+税
(2017年4月12日発売)


ヒロインは、とある学校、とあるクラスの委員長さん。
家庭でマナーをきびしくしつけられた育ちのいい子なのだが、その反動で、どんぶり飯をがーっとかきこむワイルドな食事に強い憧れを抱いている。
そんな彼女が、料理上手なクラスメイトの少年・吉田くんと接点を持ったことで、いてもたってもいられなくなった。

「アタシのために●●でどんぶりつくってくれる?」

高飛車なフレーズを口ぐせのようにして、委員長は日常のなかでおいしそうな具材を見つけては、それを使った創作丼を少年に要求。
至近距離で調理の様子を見守り、実食してはうっとりする。
吉田くんのほうはといえば、委員長の無茶ぶりに苦労はするが、ふとした言動に惹かれて彼女を憎からず感じており、2人きりの時間はお互いに楽しいものとなる……。

“つくらせる”グルメマンガという切り口や、素朴な愛嬌あふれるキャラクターで注目された本作も、最新の第4巻をもって完結となった。

ふかしたジャガイモにバター、チーズ、めんたいマヨをトッピングして花火のような彩りをあしらう“じゃがバターお祭りドーン丼”。
卵やチキンなどをお手製でくん製にした具ばかり盛りこんだ“くん製づくしの香り高きネオ親子丼”。
まさかの肉まんを使った“アサリの旨みたっぷりじゅんわり肉まん丼”、などなど。
最後までバラエティ豊かなメニューが読者の目と胃を刺激してくれる。

そんななか、委員長のどんぶり欲はとどまるところを知らず、まさに色気より食い気。
しかし、エピソードが積み重なるにつれて、吉田くんといっしょにいること自体にも彼女にとって特別な意味があるという心情がかいまみえてくる。
転校生・山笠さんが再登場してどんぶりタイムにわりこんでくることで委員長がムッとする第27話、そして2人の深まった親しさを再確認できる最終回は必見だ。

「ごちそうさまでした」という言葉を、グルメとラブコメ、二重の意味で贈りたい最終巻となっている。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム35年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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