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『ぎゃんぷりん』 第1巻 押切蓮介 【日刊マンガガイド】

2017/06/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ぎゃんぷりん』

  
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『ぎゃんぷりん』 第1巻
押切蓮介 双葉社 ¥600+税
(2017年5月27日発売)


押切蓮介はゲームだけではなく、ギャンブルも大好物である。
多忙な執筆作業の合間を縫うようにハンドルを握り、漢字や数字の描かれた小さなブロックをこねくりまわしているのだ。
そんな押切が原稿用紙へ向けて脳汁を放出し始めた。それが「漫画アクション」で連載中の激熱作『ぎゃんぷりん』である。

徹マン明けの平日早朝に、パチンコ屋の開店待ちに並ぶ4人の妙齢女子、タマコ、ミズホ、フジノ、沙美。
10時間後には今日も今日とて全員玉砕だ。
負けた金で何が買えたか……を考えて地団駄を踏み、傷をなめあうどころか敗者同士で醜い罵倒合戦。
それでも時間がたてばケロリと忘れ、同じことを繰り返す。
ギャンブラーといえば聞こえがいいが、傍から見たらパーフェクト駄目人間だ。

ここからは小博打を嗜む者なら深々とうなずくこと必至の、あの独特の空気感がこれでもか、これでもかと活写される。
信頼度激高リーチをスカされた時の虚無感、特大ハマリ後の僥倖と単発スルー、あらゆるものが激熱柄に見えるサイケデリック症状、ホールに巣食う魑魅魍魎との凄惨なバトル……。
ここにはパチンコに充満する“不穏”がすべてパッケージされている。
それでも4人が楽しそうに見えるから不思議だ。

注目してほしいのは、作中に登場するパチンコ機。
実在する機種は皆無で、「CRミスミソウ」(新基準ミドル)、「CR焔の眼」(バトルタイプ)といった自著をモチーフにしたものや、親友・清野とおるの代表作をベースにしたST機などが登場する。
これらが、どれもこれもウルトラおもしろそうなのだ。

ハズレだらけの演出「ペイティチャンス」や、ロングSTの「赤羽炎上モード」、ハラハラドキドキの「春香告白リーチ」にド迫力の「神髄リーチ」……。
あぁ、実際に打ってみたい。パチンコメーカー様におかれましては、ぜひとも『ぎゃんぷりん』を御一読、御一考くださいませ。

てなわけでパチンコ編はこの第1巻をもって規定ページ数を消化。次巻から乙女たちは新緑のターフへ!



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。

単行本情報

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