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『フラウ・ファウスト』 第4巻 ヤマザキコレ 【日刊マンガガイド】

2017/07/04


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『フラウ・ファウスト』

  
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『フラウ・ファウスト』 第4巻
ヤマザキコレ 講談社 ¥581+税
(2017年6月7日発売)


ファウスト博士は、中世ヨーロッパに実在したといわれる伝説的な錬金術師で、文豪ゲーテがそれらの伝説をまとめて文学作品に昇華した『ファウスト』でよく知られている。
ヤマザキコレ『フラウ・ファウスト』はこのファウスト伝説を下敷きにして、各地に封印された悪魔メフィストフェレスの五体を異端審問官に追われながら集める、じつは女性だったファウスト博士(ヨハンナ)の姿を描く。
ファウスト博士が男性であるというのは、ヨハンナが世間を欺くために意図的に広めた噂だった、という物語だ。

悪魔メフィストフェレスは、ゲーテの『ファウスト』でもそうだったように、ファウスト博士とセットで語られることが多い。
『フラウ・ファウスト』でもヨハンナとかつて契約し、今でも不完全な姿で彼女を救う場面がある。
悪魔は、魂と引き換えに束の間の現世利益を約束する契約を人間に持ちかける。
本作には、メフィストフェレスのほかにも何体か登場してくる。

最新巻のこの第4巻では、ヨハンナが生み出したホムンクルス“ニコ”の身体を“直す”ために立ち寄った交易自由都市アテナで、アテナの市長にして人形師のサラと合流したところに、異端審問局と結託した悪魔イーノーが現れ襲撃してくる。
サラは首を残して動けなくなってしまうが、彼女が「私に惚れてる」という悪魔アスモデウス(通称“アス”)が介入して一命をとりとめる。

イーノーの罠にはまったヨハンナは、異端審問局の大司教・オルガのいる聖都へと連行される。
“鋼鉄の処女”型の無数の棘に身体を刺し貫かれたヨハンナは、イーノーと契約したアナスタシアと出会う。
身寄りがないアナスタシアはオルガに利用されていたのだが、その身の上話を「バカバカしい」と一蹴するヨハンナ。
そこに鳴り響く大鐘の音に、ヨハンナはメフィストフェレスの“におい”を嗅ぎとる。

アナスタシアの異母兄で審問官のロレンツォと、ヴィートとの不器用な友情も少し進展。
“不死の祝福”により死ねない身体になったヨハンナのキャラクターも魅力的だが、ニコ、サラ、ロレンツォたち、そのほかの脇役たちも生き生きと描かれている。

“ツンデレ×ツンデレ”ともいえるヨハンナとメフィストフェレスの関係が、メフィストフェレスの身体パーツが少しずつ取り戻されるたびに少しずつ描かれているのもグッとくる。
100年前、ヨハンナが一度死んだとされる事件の謎もまだ解けていない。
じっくりと展開されていくのだろう。続刊が楽しみだ。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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