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『マトイ・ナデシコ』 第2巻 神馬耶樹 【日刊マンガガイド】

2017/07/25


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『マトイ・ナデシコ』

  
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『マトイ・ナデシコ』 第2巻
神馬耶樹 ホーム社 ¥830+税
(2017年6月19日発売)


女子高生の纏(まとい)は、「女子高生」が苦手だ。
自分は背が低く髪はクセっ毛で、すごく地味。ほかの女子高生は髪がサラサラで手足が長くて、元気におしゃべりして、なんだかキラキラしている。怖い。
だから纏はシニアの集まる弓道場にいるのが好きだった。

そこに現れた志摩子は、美人で元気な女子高生。纏は気後れしてしまう。
けれども、志摩子は纏のそばにスルリと近づき、髪を結い、彼女にしかないかわいらしさを引き出した。 かわいくなる秘訣を教えてあげる。かわりに、学校の弓道部に入ってほしい、と志摩子はいう。

纏のスポーツ弓道への意欲は、志摩子と関わることでどんどん高まっていく。
自分もかわいくなっていいんだ、と気づかされ、高校生らしいオシャレにも興味が湧いてくる。

少女の等身大のコンプレックスを描いた作品。リア充への及び腰感覚だ。
弓道と女子高生的なキラキラ、2つを等価値に扱っている。
2つは相互に干渉しあって、纏の意識をプラス思考に引きあげていく。

第2巻では纏のコミュニケーションへの苦手意識が、如実に出てくる。
キャッキャした会話や、SNSのオープンな自己表現が、纏にとっては苦痛でしかたない。
まだ自信のない纏にとって高すぎるハードル。できないとだめなのか?

キラキラというのは、みんなと合わせることではない。
自分のペースを楽しみ、充実していくことだ。
ファッションも「憧れる人」に合わせなくていい。自分に合ったものを探せば、自信が出てくるし、好きになれる。

纏は、ズバズバしゃべる苦手なタイプの女の子・希良との出会いで、どう人と距離を持てばいいかとても悩み始める。

それでも、少しずつ正直な自分の思いを表明して、人間関係の折衷点を探る。
コミュニケーション方法のひとつになっているのが、弓道だ。

……と、成長のスタートが見えたところで、連載していた媒体がなくなったため打ち切り。これは惜しい。

弓道的にもこれから練習に入って大会にいくところなのに。コミュニケーションも自分から挑戦しているところなのに!

どこかで再開してほしい良作。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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