日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『刀剣乱舞―花丸―』

『刀剣乱舞―花丸―』 第1巻
橋野サル（画） DMM GAMES／Nitroplus（案） 集英社 ￥580+税
（2017年7月4日発売）

『刀剣乱舞（とうけんらんぶ）』をご存じの方、好きだという方が、近年はとみに増えているように思う。
その大元はブラウザゲーム（スマホ版もあり）だが、今やアニメやマンガ、そして2.5次元舞台やミュージカルと、幅広く展開している大人気作品である。
何より、名高い刀剣の数々がイケメンの「刀剣男士」として顕現し、歴史を守るために戦うという設定がじつに胸躍る。
そこに様々なイラストレーターが描く魅力的なキャラクターがぴたりとハマって、歴女やゲーム好き女子の心をがっちり捕らえて放さないのだ。

今回ご紹介するのは、2016年10月に放映された『刀剣乱舞－花丸－』のコミカライズ作品。
アニメ同様、ほのぼのとした雰囲気にいやされる、読んでうれしくなる1冊だ。

時は西暦2205年。
歴史の改変をもくろむ歴史修正主義者たちが「時間遡行軍」を結成。
彼らは、たとえば幕末の池田屋事件、戦国の本能寺の変――後世にまで知られた大事件に介入し、歴史を変えようとしていた。
その者たちと戦い、正規の歴史を守るために、「審神者（さにわ）」と呼ばれる者（ゲームではプレイヤー）が刀剣男士を召喚。
人型となって現れた刀剣男士たちは、いざ時間遡行軍が現れるその時までは、審神者のいる本丸で剣の修行や様々な仕事に励む毎日。
『花丸』は、そんなとある本丸に集う、楽しくもひたむきな刀剣男士たちの日々の物語なのだ。

本作は、アニメをじつにきっちりと、丁寧にコミカライズした作品だ。
アニメのファンはもちろん、見ていなかった読者にもその雰囲気はしっかりと伝わることだろう。
ゲーム本編を彷彿させる用語やセリフも多く、そのあたりもファンにはうれしいところ。
刀剣男士のだれもが、主である審神者のために一生懸命生きている姿がほほえましくも頼もしい。

『刀剣乱舞』人気は止まるところを知らず、昨年秋の『花丸』に続き、現在は『活撃　刀剣乱舞』が放映中。また『花丸』も第2期が2018年1月から放送が決定しているとのこと。
残念ながらアニメの第1期を見逃した方は、このコミカライズで予習して第2期に備えるのもよいのではないか。

＜文・山王さくらこ＞
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系＆スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」