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『かりん歩』 第2巻 柳原望 【日刊マンガガイド】

2017/08/17


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『かりん歩』



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『かりん歩』 第2巻
柳原望 KADOKAWA ¥600+税
(2017年7月22日発売)


就活で失敗続きの大学生かりん。中3の妹くるみのことが大好き。くるみの世話をすることだけを考えてきた彼女、ほかにできること・やりたいことがない。
かりんは考え抜いた結果、祖父の喫茶店で働きたいと決意。ところが祖父は亡くなってしまう。
どうしても喫茶店を残したいと考えるかりんは、自ら店を経営しようと決意する。

物語自体は喫茶店経営の話。
しかしこの作品の原動力となっているのは、行動地理学のフィールドワークだ。
かりんはまず、自分で土地を歩く。こまめに地図にメモを取り、実際の地図に重ねていくうちに、考える糸口が見えてくる。 そこから分析し、かたちにしていくのが行動地理学の手法のひとつ。

第2巻では、かりんのことを嫌っていた元同級生の理央が、かりんとともに行動することが増えていく。 自分で歩くことによって見つけられるものの大切さを、理央もわかってきたからだ。
かりんがうまく喫茶店を経営するための調査のみならず、対人恐怖症のくるみの名古屋の歴史調査、常連客の苦しみの過去を探るダークツーリズム、「自分を記述する」という大学の課題など、様々なバリエーションの考察方法が描かれている。

著者の前作『高杉さん家のおべんとう』の続編的立ち位置の作品だ。
主人公だった高杉温巳と久留里はすでに結婚しており、かりんの先生になっている。高杉が師事していた風谷教授、高杉に思いを寄せていた小坂など、多くのキャラが成長した姿で登場。かりんのフィールドワークの手引きをしている。

前作では行動地理学的に考察し、お弁当として表現された。
今作はその応用編。お客さんたちもいうなれば研究対象なので、視野の幅が広い。逆に世界には旅立たないので、行動範囲は狭い。 超理屈型でせかせかしていた高杉と違って、かりんはのんびりした性格。歩くこと自体を楽しんでいるので、かなりマイペース。 お店の危機自体はあるものの、それほど緊迫した話でもないので、彼女が行動地理学を体感していく様子をじっくり楽しめる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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