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『ジョジョリオン』 第15巻 荒木飛呂彦 【日刊マンガガイド】

2017/08/22


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ジョジョリオン』



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『ジョジョリオン』 第15巻
荒木飛呂彦 集英社 ¥400+税
(2017年7月19日発売)


記憶を失ったひとりの青年・東方定助が、自分の正体を知るべく身のまわりの謎を1つひとつ解き明かしていくという、異色の展開で始まったジョジョ第8部『ジョジョリオン』。

前巻の戦いでいよいよ自分の正体もわかり、自分が成すべきこと――病に倒れたホリー・ジョースターを助ける――も理解した定助は、ホリーの病を治すことができる「ロカカカの実」を入手すべく動き出した。
その手始めに居候している東方家当主の憲助に相談し、「ロカカカの実」を見つけ出せる植物鑑定人を紹介してもらった定助。だが、その人物と接触しようとする彼の前に新たなスタンド使いが立ちはだかる。

これまでのシリーズに比べて、よりトリッキーな能力のスタンド使いが多く登場する今作だが、今回新たに登場したスタンドは、「体液」に触れた者をひたすら対象に向かって直進させる能力を持つ「ブルー・ハワイ」。

看板にぶつかって顔がつぶれようが、車に轢かれようが、ひたすら定助を追いかけてくる感染者たちの姿はゾンビさながら。
そんな感染者を描く荒木先生のペンはじつに冴えわたっており、身体が崩れながらもひたすら定助めがけて近づいてくる感染者たちは、じつに恐ろしくて、そして何より気持ち悪い。その不気味な光景は本物のゾンビマンガにもひけをとらない。

ジョジョのゾンビといえば、第1部の敵役で出てきた屍生人(ゾンビィ)を連想させるが、あちらが俊敏な動きと人間離れしたパワーを持つのに対し、こちらはもろにゾンビ映画に出てきそうなタイプだ。身体能力が優れているわけでもないし、動きは単純。
だが、ジョナサンのように波紋で倒すこともできないし、いちおう操られているだけの人間なので殺すこともできない。下手に攻撃すればその血を浴びた人が感染してこちらを襲ってくる。

そして一番重大なのが、敵は遠く離れた場所からこちらに攻撃を仕掛けてきており、こちらに反撃のチャンスがないことだ!

新展開早々からいきなり絶望的な状況を迎えてしまった定助。
はたしてこの局面を打開し、ロカカカの実を見つけ出すことはできるのか!?



<文・犬紳士>
養蜂家。好きな野鳥はメジロ。
Twitter:@gentledog

単行本情報

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