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琵琶湖周辺に怪人の目撃情報!? 空飛ぶサラリーマンの真相にせまる【B級ニュース】

2017/08/29


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「鳥人間、空を舞う」について。


toriningenDVD

『鳥人間コンテスト 30th Anniversary DVD-BOX』
ジェネオン エンタテインメント ¥12,800+税
(2006年10月6日発売)

まもなく9月ッッ!!!!
早くも1年の3分の2が終わろうとしているわけだが、月日をボヤボヤと消費しているうちに、キミたちは大事なことを忘れていやしないかッッ!?
今年2017年が、いったいどんな年なのかをッッ!
酉年であるッッ!!
まさしく鳥にとってのゴールデンイヤー、「第40回鳥人間コンテスト」(読売テレビ放送株式会社主催)ではとんでもない大会新記録が飛び出した!
この大会に出場した社会人チーム「BIRDMAN HOUSE伊賀」は、前人未踏の40キロメートルを飛行。それ以前の記録を4キロメートルも上まわる大会新記録を樹立したのである!
そしてそのパイロットが、会社員の渡邊悠太さんなのである!! 飛んではいるけどトンでもないとはこれいかにッッッ!!!!
なんともケッコウな話だッッ!!

だがフィクションの世界で鳥人間といえば、飛行機で空を飛ぶ人間のことではないッ!
鳥の格好をした(もしくは鳥と融合してしまった)人間のことを指すッ!!
2015年の第87回アカデミー賞では『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞の4部門を受賞したように、そして居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」が鳥人間をメインキャラクターに採用しているように、世界は鳥を待っているんだぜッッ!!
そこで今回は、マンガに出てくる鳥人間を大々的にフィーチャーする。
「僕たちの好きな鳥人間」特集だッッ!!!!


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『小学館文庫 からくりサーカス』 第1巻
藤田和日郎 小学館 ¥800+税
(2017年5月12日発売)

鳥人間エントリーNo.1は『からくりサーカス』の白銀(バイ・イン)。
中国拳法の使い手である主人公・加藤鳴海は、フランスの地で自動人形(オートマータ)が子どもたちを襲う惨状を目の当たりにし、自動人形の壊滅を決意する。そして自動人形を破壊してまわる“しろがね”の最古参・ルシールは、加藤に自身の過去を明かす。
ルシールの生まれたクローグ村は、黒衣の男の生み出した自動人形によって滅ぼされ、「どんなに苦しくても死ねない」呪いのようなゾナハ病をばらまかれてしまった。そんな村人たちを、放浪の医師・白銀が看病した。白銀はつばの広い帽子、マント、そして鳥のくちばしのようなマスクを装着している。作中で白銀は「昔の医者のスタイル」と説明するように、これは中世の「ペスト医師」のスタイルだ。
外見的には、まごうことなき鳥人間である。
ちなみに、現在、新日本プロレスリングに上がる外国人レスラーのマーティー・スカルは、この「ペスト医師」のマスクを取り入れたギミックと、カラスのようなムーブで活躍している。得意技は「クロスフェース・チキンウイング」(胴締めチキンウイングフェースロック)、やはり鳥であるッ!!


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『火の鳥3 ヤマト・宇宙編』
手塚治虫 小学館クリエイティブ ¥1,700+税
(2013年12月20日発売)

鳥人間エントリーNo.2は『火の鳥』宇宙編に出てくるラトマス星系第11惑星フレミルの住民たちだ。
宇宙編の舞台となるのは未来の2577年。ペテルギウス第3惑星ザルツから地球へと資料を運ぶ宇宙飛行士たちは、冷凍睡眠を繰り返しながら宇宙飛行を続けていたが、飛行士のひとりである牧村が謎の死を遂げてしまう。
飛行士たちはその後、個人用ボートに搭乗し、個別に宇宙を漂流することになるが、そのうちのひとり・猿田はある惑星に漂着。そこでラトマス星系第11惑星フレミルの住民を名乗る宇宙人と出会うのであった。
この宇宙人が猿田に牧村の過去を明かすのだが、その外見は頭から背中、腰にかけて毛がビッシリと生えて、両肢は鳥そのものという、まさしく鳥人間ッ!!
かつて牧村は、この鳥人間のラダという少女と深い仲になっていたが、地球への郷愁が牧村を追い詰め、大きな悲劇を招くのであった。


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『UMEZZ PERFECTION! 14歳』 第1巻
楳図かずお 小学館 ¥2,286+税
(2012年10月30日発売)

鳥人間エントリーNo.3は『14歳』のチキン・ジョージ!
クローン技術の発展した22世紀、バイオ鳥肉工場のササミ細胞から、ニワトリの頭と人間の体を持つ異形の人類が誕生した! それがチキン・ジョージであるッ!
チキン・ジョージはただの鳥人間ではない。天才的な頭脳によって人間の言語を理解し、あらゆる学問を修め、コンピュータを駆使し、やがてみずからを「動物たちを代表する存在」と自覚するようになっていく。
そしてチキン・ジョージは、その年に生まれた子どもが14歳になる頃に、人類と地球が滅亡することを感知するのだが……。
なにしろチキン・ジョージは、ほかのニワトリ(チキン・ルーシー)にも知性を授けることができるので、マンガ界屈指の鳥人間といえるだろう。


ここまで見てきたように、マンガにおける鳥人間は、人知を超越した神秘的な存在として描かれることが多い。それは、人間が従えてきた家畜に立場を覆されてしまう恐怖心も内包しているのかもしれないが、いずれにせよ鳥人間たちは烏合の衆にあらず。われわれよりもはるかに大人物で、燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや、といったところだ。
偉大な鳥人間を讃えようッ!!!!



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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