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『DCユニバース:リバース』 ジェフ・ジョーンズ(作) ゲーリー・フランクほか(画) 高木亮(訳) 【日刊マンガガイド】

2017/09/11


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『DCユニバース:リバース』



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『DCユニバース:リバース』
ジェフ・ジョーンズ(作) ゲーリー・フランクほか(画) 高木亮(訳) 小学館集英社プロダクション ¥1,500+税
(2017年8月2日発売)


スーパーマンとバットマンが初めて登場したのは1930年代。
以来DCコミックスは制作者も読者も、ときには登場人物をも世代交代させながらヒーローたちの物語を紡いできた。
その世代交代に伴い、作品世界そのものすらいわば「世代交代」させる試みもある。

2011年にDCコミックスは、スーパーマンやバットマンなどの各タイトルを再構築させて「THE NEW 52!」というシリーズをスタートさせた。
この「THE NEW 52!」シリーズの発端であり、それまでのDCコミックスの世界(ユニバース)が消滅するきっかけとなったのは「世界最速の男」ことフラッシュだと考えられてきたが、この『DCユニバース:リバース』ではそこに『ウォッチメン』が関与していることが仄めかされている。

『ウォッチメン』はザック・スナイダーによる映画も興行的に成功したまぎれもない傑作だが、原作者アラン・ムーアのその自虐的なまでのジャンル批判の側面もあり、ほかのDCコミックスの世界とは隔絶していた。
「スーパーヒーローたちを監視するものたち」という意味のある「ウォッチメン」(ムーアらしく、意味はもちろんそれだけではない)が、フラッシュたちが自らの正義のために歴史を改変してしまったことを容認せず、それまでの世界を消滅させてしまったようなのだ。

『DCユニバース:リバース』は、まったく新しいシリーズとして始まったはずの「THE NEW 52!」シリーズの世界と、消滅したことにされてきた旧来の世界とが、歴史改変の要となった新旧フラッシュの奇跡的な邂逅によって再統合され始める様子を描いている。
『ウォッチメン』が今後どのように関わってくるのかはいまだはっきりとはしていないが、作中でバットマンがウォッチメンのシンボルである血痕つきのスマイルマークを手にするシーンは多くのアメコミファンの胸を騒がせるに違いない。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

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