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『ゴールデンカムイ』 第11巻 野田サトル 【日刊マンガガイド】

2017/09/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ゴールデンカムイ』



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『ゴールデンカムイ』 第11巻
野田サトル 集英社 ¥514+税
(2017年8月18日発売)


2016年度の「マンガ大賞」を受賞し、テレビアニメ化も決定した人気マンガ『ゴールデンカムイ』の最新刊(第11巻)が8月に発売された。

日露戦争の帰還兵・杉元佐一は、幼なじみの梅子の眼を治すため、一攫千金を求めて北海道に来た。そして、8億円にものぼるアイヌの金塊を奪った「のっぺら坊」という死刑囚が、そのありかを24名の囚人に入れ墨で彫った――という噂を知り、その実物を眼にする。

ヒグマに襲われた杉元は、アイヌの美少女アシリパに助けられる。
アシリパは、杉元の誘いに応じて、もともとはアイヌのものである埋蔵金探しに同行することとなる。ここに「不死身の杉元」と恐れられた帰還兵と、アイヌの美少女という奇妙なコンビが誕生したわけだが、埋蔵金を求めるのは彼らだけではなかった。

その競争相手は、陸軍第七師団の鶴見中尉の一派と、70代になろうかという元新撰組副長の土方歳三の一味である。こうして埋蔵金のありかを記した刺青の暗号図をめぐる三つ巴の戦いが繰り広げられることとなる。

第11巻では入れ墨持ちの脱獄囚・稲妻強盗と、鶴見中尉一派とのバトルがメインとなる。
日本版の「ボニー&クライド」ともいうべき、稲妻強盗と女賊・蝮のお銀は実在した人物で、こうした虚実を入り混ぜた物語づくりが、野田サトルのうまいところである。
そして、杉元とアシリパは、動物や植物を“こよなく愛する”、入れ墨持ちの脱獄囚・姉畑支遁(あねはた・しとん)の存在を知る。
どのように愛するかは読んでもらうしかないのだが、こうした支遁を始め、これまでに登場した脱獄囚たちは個性的で、次はどんな脱獄囚が出てくるのか気になってしかたがない。

本作のウリは、杉元たちが見せる多彩なバトルアクションなのだが、その背景となる、北海道の大自然も魅力的だ。そして、戦いの合間に織りこまれた、登場人物たちが野生の動植物を食べるシーンが、じつにうまそうなのである。
さらにいえば、小樽から始まった物語は、札幌、苫小牧、日高、夕張、旭川、釧路と場所を移していくのだが、今とは違う、明治時代の各都市の様子がうかがえるのも本作の魅力といえようか(こうした街のたたずまいや食事の場面が、アニメでどう描かれるかは、ファンとしては気になるところである)。

様々な魅力が盛りこまれた『ゴールデンカムイ』の第12巻は、今冬発売。釧路を舞台にした、杉元・アシリパの活躍が楽しみである。



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「ミステリマガジン」(早川書房)にてミステリコミック評担当(隔月)。「2017本格ミステリ・ベスト10」(原書房)でミステリコミックの年間レビューを担当。

単行本情報

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