このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

『そしてボクは外道マンになる』 第2巻 平松伸二 【日刊マンガガイド】

2017/10/24


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『そしてボクは外道マンになる』

  
soshitebokuhaGEDOUMANninaru_s02

『そしてボクは外道マンになる』 第2巻
平松伸二 集英社 ¥600+税
(2017年9月19日発売)


週刊マンガ誌が普及して半世紀あまり。
画業ウン十周年を経ていまだ健筆を振るうベテラン漫画家はめずらしくないという驚くべき時代に突入し、漫画家が若き日を顧みた自伝マンガも隆盛を極めている。 苦労話や輝かしい青春エピソードはもちろん、駆け出しの頃は間違っても口外できなかった裏話が披露されるのも読みどころ。
次はいったいだれが描いてくれるのか楽しみな状況のなか、登場した本作は第1巻が発売されるや話題騒然!
『ドーベルマン刑事』(原作:武論尊)、『ブラック・エンジェルズ』『マーダーライセンス牙』『どす恋ジゴロ』等々で知られる平松が、汗とインクと涙にまみれて吼えまくる“ほぼ実録!?”の青春物語である。

高校在学中に「週刊少年ジャンプ」でデビューを飾り、卒業後に上京。 あの『アストロ球団』(中島徳博)のアシスタントを経て、初の連載作『ドーベルマン刑事』が大ヒット。
……と、書いてしまうとトントン拍子にヒット作家の階段をのぼっているように思えるかもしれないが、その楽屋裏はどんなに過酷なものであることか!
大げさに見えるかもしれない編集者のヤクザな立ちまわりもド派手な描写も、著者が感じた“そのまま”を写しだしたものであろう。
「オレは漫画家としてオメエを認めねえ!」と担当編集者に怒鳴りつけられながら、日夜格闘を続ける平松。
第2巻では、連載3年目に入った『ドーベルマン刑事』の担当者が変わるという事件も。前任者の口の悪さとはまたタイプの違うイヤミな毒舌野郎に不信感いっぱい……!?

ちなみに現代の、この連載においての編集者の確執までも赤裸々にブチまけられているからすごい。回顧録として描くのではなく、今も変わらぬ思いでマンガに向かい続ける平松の意志がひしひしと伝わってくる。
一方、本巻で多くのページがさかれている恋愛エピソードも読みどころ。純な遠距離恋愛の風景は甘酸っぱくて、平松のチャーミングな横顔が魅力的だ。

この青年がいかにして“外道マン”に変身していくのか、まったく目が離せない!



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

  • 『そしてボクは外道マンになる… Amazonで購入
  • 『そしてボクは外道マンになる… Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング