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『このマンガがすごい! comics 君に恋をするなんて、ありえないはずだった』 筏田かつら(作) 柏木郁乃(画) 【日刊マンガガイド】

2018/01/26


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』



『このマンガがすごい! comics 君に恋をするなんて、ありえないはずだった』
筏田かつら(作) 柏木郁乃(画) 宝島社 ¥650+税
(2018年1月26日発売)


高校生活最後の1年間、何をしていたか、思い返してみたくなる。
『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』はそんなマンガだ。

主人公の靖貴(やすき)は、地味で冴えない高校3年生。自分のことを、「スクールカーストの底辺」と認識している。
平凡な毎日を一変させるようなキラキラした出来事が、自分の身の上に起こる。そんな可能性をこれっぽっちも信じずに、ひたすら学校と予備校との往復を淡々と繰り返している。靖貴はそんな男の子なのだ。

いわゆる“青春”らしいことができずに高校生活が終わろうとしている主人公。意外と共感できちゃう読者も多いかも!?

ところが夏休みの初めに開かれた勉強合宿をきっかけに、美人で目立つクラスの1軍女子、恵麻(えま)との距離が縮まる。
2人だけの秘密ができた、合宿の夜。
気持ちを探りあうようなこそばゆい会話をしながら、恵麻の隣で自転車を押した、夏の夕暮れ。
2学期には、なぜかよく恵麻と下校の電車がいっしょになり、お互いを意識しすぎるあまり、かみあわない会話を繰り返した。
球技大会2日前の帰り道では、「応援きなよ」、「分かったよ」と、照れながら約束を交わした。
とんでもなく、青春なのである。フラグが立ちまくっているのである。

初めて学校の外で会った私服姿のクラスメイトと夏の夜の散歩…という青春ドまんなかのシチュエーション。胸キュン以外のなにものでもないッ!! 

それでも靖貴は、「恵麻みたいなかわいい女の子が、自分を相手にするはずがない」と思ってしまう。
自分もまた、恵麻とは住む世界が違うのだから、好きになっても無駄なんだと、ブレーキをかけようとする。
ブレーキはかからない。

人を好きになることで、自分と世界との境界線がより鮮明になっていくような体験こそ、思春期の特権なんじゃないかと思う。
高校3年生は、子どもでも大人でもない。早く大人になってしまえよと、読みながら何度も、靖貴にいいたくなる。



<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。

単行本情報

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