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10月20日は坂口安吾の誕生日 『戦争と一人の女』を読もう! 【きょうのマンガ】

2014/10/20


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『戦争と一人の女』
坂口安吾(作) 近藤ようこ(画) 青林工藝舎 \1,000+税


1906(明治39)年の10月20日、新潟市屈指の富豪にして衆議院議員・坂口仁一郎に五男・炳五が誕生した。
のちの坂口安吾である。

幼いころは勉強嫌いで、自由奔放なあまりに中学校を一度は放校処分になるほどだった安吾は、大学入学に前後して哲学に興味を持ち、25歳で処女作『木枯の酒倉から』を発表。以後も純文学・歴史・ミステリと様々なジャンルの小説をものした。
なかでも終戦直後に発表したエッセイ『堕落論』と短編小説『白痴』は、日本人特有の精神性そのものに言及して、大きな話題を呼んだ。

『戦争と一人の女』は、さきの2作に先がけて発表されるはずだった作品を原作の一部とした、近藤ようこのマンガ作品。
「はずだった」というのは、当初発表予定のオリジナルが連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の検閲によって、大幅に削除され、急遽『続 戦争と一人の女』を書き上げて、翌月に発表したからだ。

本作は、GHQ検閲前の無削除版と『続』、そして『私は海をだきしめていたい』をあわせひとつの話として構成している。
舞台は太平洋戦争末期の東京。酒場の主人の妾であった女は徴用を避けるため小説家の野村と結婚する。
肉体の喜びも家庭の愛情も感じない彼女と野村は、戦争をおもちゃに楽しんでいるかのような退廃的な生活を送っていたが、敗色濃厚な世情のなかで、少しずつ考え方が変わっていく。

「人間は堕落する生き物である」として、堕ちながらあがき、もがく姿こそがその本質であると『堕落論』で主張した安吾の、戦争に対する考え方を垣間見ることのできる本作。
かつて通った道、“戦争”への漠然とした不安が、もやのようにこの国を覆っている今だからこそ、読んでほしいものだ。



<文・富士見大>
喚べばたちまちきてくれる、マンガ編プロ・コンテンツボックスのベニシャークライター。『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、平成25年度「日本特撮に関する調査報告」、『思い出のマーニー ビジュアルガイド』ほかをやりました。

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