新装版『うさぎドロップ』第1巻
宇仁田ゆみ 祥伝社 \680円+税
（2014年10月8日発売）

200万部の大ヒットとなり、アニメや実写映画にもなった大人気作品が、新装版で登場。
掲載誌「FEEL YOUNG」のB6サイズ新レーベル「FCswing」の第1弾作品として、1巻と2巻が10月に同時発売され、今後は毎月新刊が発売される予定だ。

主人公の大吉が祖父の訃報を聞き実家に戻ると、そこには見知らぬ小さな女の子がいた。事情を聞くと祖父の隠し子、つまり大吉にとって血縁上は叔母にあたるという。
複雑な事情ゆえに祖父が亡くなっても誰も引き取ろうとしない親族に業を煮やし、大吉は思わず「自分が引き取る」と宣言。こうして大吉と、自分の叔母ながらも6歳の女の子であるりんとの不思議な共同生活が始まるのだった。

血のつながらない父子というテーマの作品はいくつもあるが、30歳と6歳という年齢差もあって、2人の間に恋愛感情などは発生せず、大吉が悪戦苦闘しながらも少しずつりんとの共同生活に愛着を持ち始める様が描かれる。
子育ての苦労や感動ばかりを過剰に演出するのではなく、子供にまるで興味を持っていなかった大吉が、りんと暮らすことで少しずつ子育ての喜びを感じ始める様や、常にりんと同じ視線、同じ立場で語りかける大吉には学ぶところも多い。

新装版には、コミック未収録の予告カットがフルカラーで全点収録されるほか、創作秘話の描き下ろしという特典を収録。さらに初回限定で、りんが毎巻ごと成長していく「りんの成長しおり」が封入りされるほか、第1部が終わる4巻と第2部が終わる9巻には、番外編の描き下ろしも予定されている。
これまで読んだことがない人はもちろん、『うさぎドロップ』ファンも注目の新作だ。

＜文・甲斐祐樹＞
IT系ライターながらマンガも大好き。著書は「スマホ&タブレット“二刀流”仕事術。」「Chromecastの使い方」など。個人ブログは「カイ士伝」