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『謎のあの店』第2巻 松本英子 【日刊マンガガイド】

2014/10/28


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『謎のあの店』第2巻
松本英子 朝日新聞出版 ¥780+税
(2014年10月7日発売)


勇気がなくてなかなか入ることができなかった怪しげなお店に潜入し、独特の目線でレポートする、人気コミックエッセイの第2弾。
今回登場するのは、有楽町のスパゲティ屋、北千住の拉麺屋、築地の地下中華、野菜直売所、蚤の市、東京拘置所、宇宙マッサージ……。

「街歩きもの」ブームの昨今、マニアックな珍店&珍スポットガイドは、いまやテレビや雑誌はもちろん、個人のブログでもさほど珍しくはなくなった。だが、彼女が描くのは店構えやメニューといった「目に見える変さ」ではなく、それら要素と店主やそこに集う人々が渾然一体となって醸し出す「空気」なわけで。
迷った末に、おずおずとドアを開いた先に広がる異界。日常と非日常をたゆたう不思議な読後感は、やはり唯一無比。

『千と千尋の神隠し』で迷い込んだ異界で、横暴にふるまう千尋の両親は豚に変えられるが、畏敬の念を持った千尋は人間の姿のまま異界を覗き見ることを許される。松本さんはきっと千尋のように、日常に潜む異界に自由に出入りできる人なのだろう。

全編から、古きよき佇まいのモノや人への惜愛の念がヒシヒシと伝わってくるが、拘置所の話の過去エピソードにも、松本さんのてらいのない人柄が伺えてじんわり。温泉マニアでもある松本さん。諏訪のひなびた温泉旅館は、レトロ好きには垂涎もの!
街と人への愛は通底しつつも、偽悪的キャラで怪しい店のディープな人間模様をディープに描く、清野とおる『ウヒョッ! 東京都北区赤羽』とは、コインの裏表にあるような一冊。

各話に登場するモチーフをコラージュして描いたカバーも秀逸。ぜひ、実物を手に取ってご覧あれ。



<文・井口啓子 >
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて『おんな漫遊記』連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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