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【日刊マンガガイド】 『月影ベイべ』第3巻 小玉ユキ

2014/06/04


tukikage3

月影ベイベ 3
小玉ユキ 講談社 ¥463
(2014年5月9日発売)

富山県・八尾の伝統芸能「おわら風の盆」を知っているだろうか。 どこか哀切感漂う音楽のしらべと、しっとりとした色香を秘めた踊りと……。 本作は、この「おわら」のある日常を背景とした、静かな恋物語だ。

おわらに打ちこむ高校生男子・光。東京から転校してきた蛍子が、おわらを見事に踊りこなすこと、そして光の伯父・円と蛍子の間に流れるただならぬ雰囲気の理由は何なのか??いよいよ謎が解かれはじめてきた。この「三角形」は、もともとは、蛍子の母・繭子を含めた「四角形」だったのだと。しかし、繭子はもうこの世にはいないのだと――その関係性を知った光の心に生まれた変化とともに、ドラマは動き出す。

光は、尊敬するおわらの名手である伯父・円が女子高生と接触することで醜聞を立てられないために、蛍子と「偽装恋人」を演じてきたわけだが、ここに来て光の本心がちらほらと垣間見えるのが読みどころ。また、光や蛍子のイマドキの高校生らしい休日のシーンもいい。“東京っ子”である蛍子の意外な私服姿にも、彼女の一面を感じられて微笑ましいのだ。

しかし、まだ3巻とは思えないほど、ずいぶん登場人物たちと長く時間をともにしてきた気がする。おわらの一挙手一投足が丹念に描かれる美しい画面は、流れゆく一分一秒をいかに真摯に生きることができるかを教えてくれるようだ。時の流れのやるせなさと、時間の堆積が生み出すものと、決して縮まらない“大人”と“子ども”の距離を感じながら、光、蛍子、円の行く先を見届けていきたい。


<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
個人ブログ「ド少女文庫」


掲載中の小玉ユキ先生へのスペシャルインタビュー記事(前後編同時掲載中)も要チェック!

【インタビュー前編: 笠で顔を隠して、若い男女が踊る…ドキドキ! 『月影ベイベ』 小玉ユキ】
【インタビュー後編: おわらファイブのルーツは奇面組!? 『月影ベイベ』 小玉ユキ】

単行本情報

  • 月影ベイベ 3 Amazonで購入

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