『STAY GOLD』第1巻
秀良子 一迅社 \647+税
(2014年10月30日発売)

中学生の甥（駿人）に、いきなり愛の告白をされて戸惑う主人公（優士）……。
禁じられた想いを軸にして登場人物たちのあいだを優しさが錯綜していく様子を見事に描き出すのは、『宇田川町で待っててよ。』などで知られる名手・秀良子。

主軸になる優士と駿人の関係を、同性愛と言ってしまえばそれまでかもしれない。しかし当の彼らにとっては、彼ら自身の関係はそう表現して一概にすませられるものではない。
優士と駿人とのあいだにいる、家を出て行ってしまって作中にはハッキリとは登場しない姉の存在。姉とともに、主人公と甥のあいだだけに交わされたやりとりの記憶が呼び起こされる。

駿人に想いを寄せる中学の同級生や、優士の弟で女癖の悪いコウ、駿人の妹で奔放な母の性格を微妙に受け継いでいそうな菊花たち、脇役の活躍も見逃せない。続刊のこれからの展開が待ち遠しい作品だ。

＜文・永田希＞
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい！2014』のアンケートにも回答しています。
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