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12月31日は北島マヤが年越し蕎麦120軒ぶんの単独出前に成功した日 『ガラスの仮面』を読もう! 【きょうのマンガ】

2014/12/31


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『ガラスの仮面』第1巻
美内すずえ 白泉社 \429+税


12月31日、つまり大晦日。年の変わり目というタイミングは、現実では家で紅白歌合戦でも見たあとゴロゴロしているうちに新年を迎えてしまうのが常だったりはするのだが、お話としてドラマチックに描くには、うってつけの日。
なかでも、大晦日を舞台にしたとびきりドラマチックな話といえば……そう、あの『ガラスの仮面』の第1話を忘れるわけにはいきません!

あらためて振り返っておくと、『ガラスの仮面』の物語は、横浜のラーメン屋・万福軒の住み込み店員である母のもと、主人公・北島マヤが、そのラーメン屋の出前を手伝っているというところからスタートする。
そして、映画やドラマを自己流のお芝居で再現して近所の子供たちに披露するほど演技好きだったマヤは、たまたま目にした『椿姫』の舞台の告知ポスターに目を奪われる。貧乏ゆえにまだ一度も舞台演劇を見たことがない彼女は、そのことで頭がいっぱいになるのだが、たまたまボーイフレンドに『椿姫』のチケットをもらったラーメン屋の娘・杉子は、「大晦日にひとりで年越し蕎麦120軒の出前ができたらチケットをあげる」と約束(と言うよりムチャ振り)をする。

大方の予想に反して、なんとか大晦日終了ギリギリに出前を終えたマヤだったが、さらなる追い打ちをかけるがごとく、チケットは風に飛ばされて真冬の川へ……。ところがマヤは、躊躇せずに川へダイブ!
そして、かねてよりマヤに目をつけていた伝説の女優・月影先生は、その一部始終を見て、自分と同じぐらい狂……いや、芝居に取りつかれている彼女を「この子なら間違いない」と、育てる決意をするのである。

そして後日、その『椿姫』の公演会場で速水真澄や姫川亜弓たち、マヤが生涯をかけて関わることになる人物との出会いもあるのだが、とにもかくにも、大晦日にマヤが年越し蕎麦の配達に成功していなければ、何も話は始まらなかったことを覚えておきたい。

ちなみに、「横浜って年越しにラーメン食べるの?」と、うっすら疑問に思っている人もいるかもしれないが、じつは作中で「12月31日の大みそかの夜、万福軒は年こしそばやに身をかえて、そばづくりと出前におおわらわ」とちゃんと釈明されている。
そんな細か~いところも再確認しながら、『ガラスの仮面』を一気読みする年越しも、悪くないんじゃないでしょうか?



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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