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『鉄子の育て方』第2巻 かわすみひろし(画)やまもり文雄(企)【日刊マンガガイド】

2015/01/21


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『鉄子の育て方』第2巻
かわすみひろし(画)やまもり文雄(企) 講談社 \565+税
(2015年1月6日発売)


タイトルの“鉄子”とは、もちろん鉄道ファンの女子のこと。
ただ、本作のヒロイン・二郷あずさは、鉄道どころか“鉄子”という言葉も知らなかった鉄道オンチ! それがある事情から、文字どおり鉄子への道を邁進することになるというのが『鉄子の育て方』だ。

女子アナを夢見て、在京テレビ局はもちろん地方局も受けまくりながら、すべて落とされてしまったあずさ。そんな彼女が、なんであれ女子アナになれるのならと、24時間鉄ヲタ向け専門チャンネルの鉄道テレビの面接に挑む。
最後のチャンスということで気負うあずさだったが、バイト待遇ながら、なぜかあっさりと採用。ただし、局員となったからには、あずさも鉄ヲタ=鉄子となるしかなく、濃い世界へ飛び込んでいくことに……!?

ヒロインが、個性的な面々と特殊な環境に振り回され、ときに悪態をつきながらも、ときに熱くなって奮闘するというのが、本作の基本線。
それだけでコメディとしておもしろいが、そのうえで鉄道愛──もっと言えば、何かに夢中になっていて、何よりその何かを大事にしている人たちへの愛とリスペクトもきちんとあるのが、この『鉄子の育て方』の魅力。

たとえばあずさは鉄道には興味がなく、鉄ヲタたちに引いてしまってはいても、感受性は豊かな女性。
ヘタすれば一番ウザイ相手にもなりうる、中高年のディレクター・神宮寺が語る旅のロマンに共感もして、引退する列車を語る鉄道マニアの言葉に涙してしまう。
涙もろいというのがあずさの個性で、女子アナにとってそれは致命的。ただ、旅情や憧憬や哀愁がその魅力でもある鉄道の世界においては、彼女の感受性は武器にもなりえるのだ。

そんなふうに書くと、すでにあずさは鉄子の資格十分ということにもなってしまうのだけれど、それでもやっぱりあがいているあずさがいじましかったり、いじらしかったり。
鉄道と鉄ヲタに反発するヒロインを主軸に置きながら、そのキャラクターも鉄道の世界も魅力的に描いているのが、本作の心地よさだ。

天下の民放キー局の女子アナながら、なぜか鉄道取材に出向いてくるライバル・井川さくらの登場など(ちなみにメインキャラの名前は実在の駅名や列車名にちなんだもの)、物語が進むにつれ、あずさの周囲はさらに濃さを増すことに!?
鉄道ファンはもちろん、あずさと同じく鉄道には全然詳しくないという人も、ヒロインと作品、鉄道の魅力にグイグイ引き込まれて、鉄ヲタに育てられてしまうはずだ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。

単行本情報

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