『JOJONIUM ジョジョの奇妙な冒険 函装版』第15巻
荒木飛呂彦 集英社 \1238+税
（2014年12月26日発売）

1月からアニメの放映も再開された『ジョジョの奇妙な冒険』。
その独自の魅力に満ちた作品世界ついては、今さらここで語るまでもなく世に広く知られていることと思うが、ちょうどアニメは犬のスタンド使い・イギーが登場編からスタートということで、そのイギーが表紙となっている『JOJONIUM』第15巻を紹介しておこう。

まず、あらためてこの『JOJONIUM』について説明しておくと、ひらたく言えば「完全版」と呼ばれるたぐいの単行本なのだが、連載時のカラーや2色原稿を再現しているだけでなく、函入りの装丁、新たに描き下ろしたイラストに特殊印刷を施した表紙、巻末には作者の荒木飛呂彦本人によるキャラクター解説……と、とことんぜいを尽くしたシリーズ。
電子書籍ならジョジョ全巻を持ち歩くことも可能というメリットはあるのだが、この函装版の“モノとしての魅力”も「実にいいッ！」のである。

第15巻は、的中率100％の予言をマンガのかたちで示現するボインゴと、拳銃のスタンド使いであるホル・ホースの凸凹コンビによるリターンマッチ、イギーと鳥のスタンド使い・ペットショップの激闘、そしてついにDIOの館に到着するまでのエピソードを収録。それぞれオチがイギー、イギーが主役、イギーが館を発見……と、イギーが八面六臂の大活躍を見せている。
もちろん巻末のキャラクター解説もイギーで、さらにペットショップとの対決ではカラー＆2色原稿の収録もありという、まさにイギーづくしの1冊。「やれやれ……イギー好きの読者なら 買わずには……いられねーぜ！」といったところだろうか。

なお、本シリーズの刊行スタート時に「小口染めの色がなかまで染みていたり、手に色移りする」という問題がクローズアップされていたが、現在はそのトラブルは解消されているといって差し支えないだろう。
意外とそれで購入を躊躇しているファンもいるかもしれないが、その点は安心していただきたい。

＜文・大黒秀一＞
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。