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『宇宙警察ミーティアわんわん』第1巻 古賀亮一 【日刊マンガガイド】

2015/02/12


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『宇宙警察ミーティアわんわん』第1巻
古賀亮一 KADOKAWA \780+税
(2015年1月24日発売)


以前「コミックメガストア」で連載されていた『ゲノム』(「コミックメガストア」休刊後は「メガストアα」で連載中)や、アニメ化もされた『ニニンがシノブ伝』などのギャグマンガで知られる古賀亮一の新作第1巻。

主人公で犬耳の宇宙警察・ミーティアのドジっぷりが底抜けにアホで楽しい。というか古賀作品に共通してる美点なのだが、アホなのは主人公だけじゃないところがまたすばらしい。
ほぼ全コマがギャグ。
また、これも古賀作品ではよくあることだが、今作も主人公をはじめとしてかわいいキャラクターはかわいく描かれ、そうではないキャラクターはほどよくに力が抜けた感じで描かれる。

古賀作品の魅力は、詰めこまれたギャグの密度であり、かわいいキャラクターのかわいらしさにあることは間違いない。しかし、かわいいわけじゃないキャラクターたちのほうが放つ独特の「気持ち悪さ」にこそ、古賀作品の真骨頂があるのではないだろうか。
古賀作品におけるかわいいキャラクターの「らしさ」は、他のキャラクターが帯びている狂気のひとつのバリエーションにすぎないのではないか、そんな感じすら湧いてくる。

このことで醸しだされる、どこか人間性を信じていない感じが作品に狂気を帯びさせる。
狂気……そう書くとちょっと堅苦しすぎるかもしれない。要するにアホなのだ。

何もかもがアホらしい。そんな世界のなかで、あるキャラクターにはそのアホらしさが極めつけのかわいらしさとして表われ、別のキャラクターには理性のタガが外れたキモさとして表れてしまう。
要するにそのギャップが開いたりせばまったりする様子が、古賀作品の魅力の源泉なのかも知れない。

あれ、なんかマジメな分析みたいになってしまった。
でも、「お前達!! こんな所で会うとは奇遇だが丁度よかった 事件なんだ!!」「なるほど自分がその事件の犯人ってわけね!?」なんていう高速かつアホすぎるやりとりを読んでると、ついこんな分析もしたくなるというもの。

読者のみなさんにも、このスピード感を楽しんでみてもらいたい。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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