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『超人ロック ラフラール』第1巻 聖悠紀 【日刊マンガガイド】

2015/02/14


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『超人ロック ラフラール』第1巻
聖悠紀 少年画報社 \565+税
(2015年1月30日発売)


1967年の同人誌から数えれば、50年近い歴史ある『超人ロック』シリーズ。
現在も最新作が2つのコミック誌で続いてるうち、「ヤングキングアワーズ」で連載されているのが本作だ。

舞台となる惑星フレンダールは、かつて滅びの道をたどった惑星・ラフノールの末裔たちが流れついた星。そこで「吹きだまり」という人工物に君臨するクラウ・ロニのもとを訪れたテリー・マイヨール・ハンは、代々ラフノールを守る立場にある家系だった……という開幕は、初見の読者にとっては「なんのことやら」だろう。
『超人ロック』はこれでいい。「なんのことやら」から過去作をたどり、もとになった「史実」を突き止めたときの喜び。さらに新たな疑問がわいてさかのぼる旅こそが、ほかのマンガでは得がたい経験なのだから。

惑星ラフノールは、ロックにとって縁の深い星だ。過酷な環境を生き延びるためにすべての住人が超能力者になり、そこに目をつけられてエスパー大量誘拐事件が起こり、鎖国をすれば幽霊海賊船の攻撃や連邦軍による爆撃……という災難の連続は『ミラーリング』『光の剣』『アウタープラネット』『スターゲイザー』の4作ほかで語られている。

本作のアタマで、俳優が演じているショーとして飛竜を退治している伝説の国王・ランは、もともとは2万人ものエスパーを抹殺しようとした天才プログラマー。その「抹殺対象」のひとりが、ラフノールの王族・ニアだった。
前国王を殺害した司祭長・グルン・ベルクに刺客を差し向けられたニアは、ロックとともに故郷に戻って王座を奪還。その2人についていって、女王になったニアと結婚したのがランだった……。

大物らしく登場したクラウ・ロニ。そのご先祖さまは、ニアを殺そうとしたグルンベルクの部下。テリーのほうの先祖といえば、ロックの味方で善人だが「解説役」だった。脇役の子孫がこんなにビッグになって、と親戚のおじさんのような気分になれる。
ご先祖さまとロックの因縁もあるクラウ・ロニだが、本人がラフノール滅亡の時にロックと会ったうえで、彼のことを恨んでいるらしい。

じつは『ロック』シリーズには千年以上にわたる「宇宙歴」があり、過去のシリーズは年代がかなり正確にわかる。ラフノールが滅びたらしい汎銀河戦争は、おおよそ472年~490年ごろで(細かな数字の間違いがあってもご寛恕(かんじょ)ください)、現在の新銀河連邦は944年設立だから、少なくとも450歳以上!
そんなクラウ・ロニはロックのように不老不死なのか、超能力を制御しきれない少女・メルルと「正体」を隠してる少年・テトとの関係のゆくえは。そしてラフノール滅亡の謎とは……。

続刊が出るまでに、過去のシリーズを“予習”する時間は、たっぷりありますね。



<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。

単行本情報

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