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『その娘、武蔵』第1巻 田中相 【日刊マンガガイド】

2015/02/22


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『その娘、武蔵』第1巻
田中相 講談社 \581+税
(2015年2月6日発売)


180cm超えの高い身長と、強烈なスパイクを撃つ能力に長けた中学生、兼子武蔵。彼女に対して、だれもが高校でさらにバレーで上を目指すと思っていた。
しかし彼女はバレーを辞めた。インタビューに対して「イミないから」。
高校に入って、気がついたら「バレーをやりたい」と感じる自分がいた。

バレーボールは集団競技だから一丸とならなければいけない……という固定観念をぶちやぶり、「個」を描くという、少し変わった切り口の作品だ。
特に武蔵は身長が高くスパイクも強い、となればみんなに期待される。やらないともったいないと言われる。周囲の思いが嫌でしかたなくて、いったんバレーをやめている。
先輩の古賀律から「スパイク対決」を持ちかけられたときも、まったく乗り気ではない。
ところが彼女は対決をしたときに「絶対負かしたい」という別の思いが押し寄せ、感情が高ぶる。それまでバレーをやっていても気づかなかった感覚だ。

バレーは集団競技。自分には期待されるものがあって、それにこたえなければいけない。それではバレー自体がつまらなくなってしまう。でも実際はバレーに対する動機を個人が持っていれば、バラバラでも楽しめるもの。

モノローグの文字は、武蔵に覆いかぶさるように太く大きく描かれる。身長も声もでかいが、感情の起伏もでかいのが武蔵という少女の魅力。
「チョコベビーでいいってこと!!」と叫ぶ彼女のセンス、素敵。なにがチョコベビーかは読んでのお楽しみ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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