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『とんかつDJアゲ太郎』第1巻 イーピャオ(案)小山ゆうじろう(画)【日刊マンガガイド】

2015/02/22


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『とんかつDJアゲ太郎』第1巻
イーピャオ(案)小山ゆうじろう(画) 集英社 \580+税
(2015年2月4日発売)


「とんかつ屋とDJって 同じなのか!!!???」

本作の主人公・揚太郎の発するこのセリフを読んだ瞬間、筆者は「エウレカ!」と心の中で絶叫した。
まるで脳を高温の油のなかに一瞬で突っこまれたかのような、猛烈な灼熱感にも似た高揚に襲われたのである。

その次のページでカリスマ黒人DJが念波(?)で揚太郎に飛ばす、

「豚をアゲるか客をアゲるかに大したちがいはねぇ!!」
「重要なのはオマエがグルーヴを感じるかだ!!!」

このセリフも、サイコーである。完全に、一本取られた。「その発想はなかったわ」というヤツである。

とんかつ屋=DJ!

そう、本作は、『とんかつDJアゲ太郎』というタイトルのとおり、とんかつ屋の跡取り息子として家業の手伝いに勤しみ、いつか父親のような一流のとんかつ屋になることを目指しながら、同時にDJとして大成することも夢見て奮闘する、ひとりの少年の姿を描く青春ストーリーである。

まずはもう、「とんかつ」と「DJ」という、まったく接点がなさそうなものに、言われてみれば深く納得する共通要素を鮮やかに発見した、作品の着想に感心する。
これだけよい着想を手にすると、ともすれば出オチのような作品を描いてしまうものだが、本作に関してはその心配はご無用である。
奇抜な題材に惑わされることなく、ライバル、ヒロイン、師匠、仲間たちとの交わりを通じた、いまどき珍しいほどまっとうな少年の成長物語を、丁寧に、痛快に描いている。

グラフィティ風の味わいを宿した、ヘタウマな作画も、作品の内容と絶妙にマッチしている。
情報量のコントロールが利いていて、どこかドライな感触があり、笑いにもシリアスにも過度に流されない。結果、不思議なグルーヴ感が作品に宿っている。
一度読みだすと、クセになるテンポ感だ。

奇抜な題材を風変わりな作画で描いているのに、読んでいるときの感触はまるで『SLAM DUNK』『ONE PIECE』といった、「ジャンプ」の“王道”を行く作品のよう。
本作は「週刊少年ジャンプ」が満を持してスタートさせたウェブコミック媒体「ジャンプ+」の連載作品なのだが、見た目のユニークさとは裏腹に、根本にたしかなジャンプイズムが息づいているのだ。
媒体立ち上げ直後に、いきなりこのような骨太なエンターテインメント作品を送り出してくるあたり、「ジャンプ」はやはりさすがとしかいいようがない。

……さあ、そろそろ気持ちもホグれてきたんじゃないか?
とっとと近くの本屋に走るなり、ネット書店でポチるなりして、揚太郎のグルーヴに身を委ねちゃってくれよ!
ここから、アゲアゲで行こうぜ!



<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei

単行本情報

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