『金四郎無頼桜』第1巻
永井豪、ダイナミックプロ 小池書院 \600+税

3月2日は｢遠山の金さん｣の日。
片肌脱いで紋を見せつけ「おうおう、この桜吹雪が目に入らねえか！」とタンカを切る姿でおなじみ、遠山の金さんは実在の人。1840（天保11）年のこの日は、遠山左衛門尉景元、通称・金四郎が江戸北町奉行に任命された日なのである。

実際の裁判上手だったとはいわれているし、桜の彫り物をしていたのも本当らしい。
のちに講談や歌舞伎で脚色された物語が、テレビや映画の「金さん」像の原型になったそうである。

人情味あふれる人柄、威勢のいい江戸弁のヒーローを、あの永井豪が描いたとなれば、じつにそそられるではないか。

永井豪＆ダイナミックプロ版の「金さん」の物語は、若き日の遊び人だった頃の金四郎が主人公。
16歳の女目明かし・琴音によって江戸の難事件に挑むように。今は肩に小さな桜の彫り物がひとつあるだけだが、事件を解決するごとに背中に桜の花びらを増やしていく。それが満開になるのはいつの日か……!?

豪ちゃん作品だけに、もちろん色っぽいシーンも満開。
最近テレビの時代劇は下火だが、日本人の感覚に訴える勧善懲悪ものはたまに読みたくなる痛快なエンターテインメントである！

＜文・粟生こずえ＞
雑食系編集者＆ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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