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『ひだまりスケッチ』第8巻 蒼樹うめ 【日刊マンガガイド】

2015/03/13


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『ひだまりスケッチ』第8巻
蒼樹うめ 芳文社 \819+税
(2015年2月27日発売)


ついに、卒業の日が来てしまった。

高校の美術科に通う少女たちが入居している「ひだまり荘」。おっとりした性格のゆのをはじめとし、元気いっぱいの隣室の宮子、優しくてふわふわヘアーが特徴のヒロ、眼鏡をかけているプロ作家の沙英らが暮らす群像劇も、もう8巻。

この作品の魅力は、時が刻々と過ぎていくことだ。描かれていることはひだまり荘での、本当になんてことのないのんびりした彼女たちの生活。
ゆのが2年に進級してから、年下の乃莉となずなが入居。
「高校生活3年間」。タイムリミットつきの楽しい時間だ。

8巻では、ひとつ先輩にあたるヒロと沙英が卒業し、ついにひだまり荘から出ていくことになる。
連載開始以来、初めての別れ。入居してからずっと一緒に、家族のように過ごしていただけに、その喪失感は大きいだろう……と思っていたら、意外にもそこまでジメジメしていない。
「卒業しないでください!」「一緒がいいです……」など言いたいことは、3分間だけ叫んで終わる、という提案をするゆのたちが、じつにいい。
ルームシェアすることになり、部屋の片づけをする2人。ゆのたちは2人を、笑顔でスパッと見送る。

とはいえ高校生組の心中は、決して穏やかではなかった。
卒業式では泣きそうになるゆのの手に、黙って宮子が手を重ねる。宮子は、だれもいなくなった沙英の部屋にはしゃぐようにあがりこんで、そっとひとり涙をぬぐう。
サイレントで描かれる、明言されない高校生たちの心理描写は、『ひだまりスケッチ』のすごみだ。

ゆのたちは3年生になり、新1年生の茉莉が入居してくる。元気いっぱいコミュ力抜群という、今までのひだまり荘にいなかったキャラ。
今後が楽しみであると同時に、ゆのたちに残された時間は1年間。楽しいからこそ、少し寂しさを感じる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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