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3月25日は電気記念日 『大停電の夜に』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/03/25


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『大停電の夜に』
カリュアード(源孝志+相沢友子)(作)松苗あけみ(画) 講談社 \819+税


1878年(明治11年)3月25日、電信中央局の開局祝賀会が虎ノ門の工部大学校(現在の東京大学工学部)で行われた。
伊藤博文から電灯を使用するよう命ぜられていたイギリス人のエアトン教授は、夕方6時になるとグローブ電池50個を使って天井に設置されたアーク灯を点灯、来賓たちは歓声をあげたという。日本で初めて公式の場で電灯が点いた瞬間である。
これを記念して、日本電気協会が1927年に制定したのが「電気記念日」だ。

工部大学でアーク灯がきらめいた翌年、エジソンが白熱電球を発明。それから3年後の1882年には東京電灯会社が銀座2丁目に宣伝用の街灯を設置、一般市民にも電灯がお披露目されることになった。
我が国の一般社会における電灯の歴史が、2015年現在で、たかだか133年ということに驚かされる。

言わずもがなではあるが、現代日本で電灯のない生活など考えられない。
特に都市部ではまばゆい光のシャワーが24時間途切れることはない。夜は明るくて当然。我々はそう思いこんでいる。

源孝志監督のメガホンによる映画『大停電の夜に』は、東京の夜が1年でもっとも強い光を放つクリスマスイブに大停電が起こったら……という設定のオムニバスドラマ。
豊川悦司、原田知世、井川遥、宇津井健、吉川晃司といった実力派の好演で、甘くなりすぎない大人のラブストーリーに仕上がっている。

今回紹介するのは、松苗あけみのペンによる同作のコミカライズ。
光が消えたクリスマスイブに、さまざまな事情を抱えた老若男女が交錯する様が、松苗独特のポップなタッチで再現される。

物語は手作りのキャンドルショップ「WISH」を営む叶のぞみの視点からスタート。
彼女は向かいのバー「FOOLISH HEART」のマスター・木戸晋一に想いを寄せている。だが木戸はクリスマスイブの営業を終えたら、店を閉める決意を固めていた。

そんな時、首都圏全域が大規模な停電に見舞われる。突然の大停電にキャンドルを求める客で「WISH」は大賑わい。
のぞみは売れ残ったキャンドルを「FOOLISH HEART」に寄贈。いつもは閑古鳥の鳴いているバーだが、キャンドルの灯りを見つけた人たちがひとり、またひとりとやってくる。

かつてニューヨークで大停電が起こった夜、たくさんのベビーが出来たという。
「暗闇の中で、人々は愛し合うしかなかった」といったらトゥーマッチ・ロマンチックだが、人恋しくなることはたしかだ。
電気のありがたさを痛感しつつ、ネオンや街灯、テレビやスマホとは無縁の暗闇で、誰かと話したり、誰かのことを想ったりできるなら、たまには大停電も悪くない。そう思わせてくれる洒脱な作品である。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。4月4日公開・松尾スズキ監督『ジヌよさらば~かむろば村へ~』の劇場用プログラムに参加します。
「ドキュメント毎日くん」

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