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3月27日は映画監督クエンティン・タランティーノの誕生日 『修羅雪姫』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/03/27


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『修羅雪姫』上巻
小池一夫(作)上村一夫(画) KADOKAWA \1,400+税


3月27日は、映画監督クエンティン・タランティーノの誕生日。
1992年に公開された初の長編監督作である『レザボア・ドッグス』は日本でも大ヒットしたのみならず、多くの作品に影響を与えたが、逆にタランティーノも日本の任侠やアクション映画、さらに怪獣映画などに造詣が深く、そこから多くの影響を受けていることでも知られている。

なかでも2003年に公開された『キル・ビル Vol.1』は、日本の映画やカンフームービーへのオマージュが山盛りとなっている作品。
なかでも、なんといっても決定的な影響を与えているのが、1973年に梶芽衣子主演で映画化された『修羅雪姫』。そのオリジナルは、小池一夫原作、上村一夫作画の劇画作品だ。
連載が開始されたのは昭和47年(1972年)と、かなり以前の作品ではあるのだが、これが現在読んでもメチャクチャおもしろいのである。

まず、主人公の生い立ちからして壮絶極まる。
終身刑となったために一生監獄から出られないと悟った母の小夜が、夫と子供を惨殺される元凶となった仇を討つべく教誨師や看守と交わり続けて子を宿し、恨みの念を受け継ぐ宿命を背負って生まれたのが主人公の修羅雪姫こと雪である。
雪が凄腕の殺し屋を生業としながら、母の仇に迫る復讐の旅を続けるというストーリー。

しかも、これが単にターゲットに接近して殺すだけでなく、相手を破滅させる手段がときに無垢な娘すら犠牲にするほど冷酷であり、またときに極めて知的な頭脳戦を講じるなど、あらゆる意味で「Coooool!!」としか言いようがない。

特にそれが際立つのが、メインターゲットのひとりである強欲な女・北浜おこのを破滅させるエピソード。
ダミーの生命保険会社を立ち上げ、言葉巧みに経営権を譲渡するのだが、その契約者のほとんどが、まもなく死を迎える重病人ばかりであることが譲渡後に判明。保険金の支払いで破産に……という、これだけで1本映画が作れそうな復讐譚なのである(映画版はその後、首吊り自殺したおこのを一刀両断にするのだが、個人的には原作版の復讐のほうがクールさが際立っているように感じる)。

ほかにも、わざわざ殺人の証拠の捏造のために血のにじむような特訓でスリのテクニックを極めたり、はたまた意外すぎる手段によって「不敬罪」でターゲットを逮捕(おそらくは死罪)させたり……と、一筋縄ではいかないプロセスがすばらしすぎる。
さらに話運びのテンポやバシッとキマッた画の構図の気持ちよさ、そして何よりも美しくも切ない雪のキャラクターの魅力は、まさしく色あせることがないものだろう。

最近のマンガの絵に慣れた読者には、やや最初はとっつきにくいかもしれないが、ぜひとも若い層にも読んでいただきたい一作である。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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