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3月28日は漫画家・古味直志の誕生日 『ダブルアーツ』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/03/28


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『ダブルアーツ』第1巻
古味直志 集英社 \400+税


いまやラブコメ系少年マンガの第一線へ躍りだした感がある『ニセコイ』
本日は、その作者・古味直志の誕生日。
それにかけて、今回は古味先生が少年ジャンプ本誌で連載作家として“誕生”した長編デビュー作『ダブルアーツ』をおすすめしたい。

舞台は、人間が透明になって消滅するという、感染性の奇病が蔓延する世界。感染者から病毒を吸収して癒やすシスターの少女エルーが、少年キリと出会って物語は動き出す。
キリには不思議な力があった。他人と手をつなぐと相手と自分の身体機能が上昇し、病の進行をおさえたり超人的な運動ができるようになるのだ。

エルーは自らも病が深刻な状態に陥っており、キリと接触して命をつなぎとめたものの、生きのびるには四六時中ずっと手をつないでいなければならなくなった。 食事も、トイレも、寝る時も、そしてシスターの命を狙う組織と死闘を繰り広げるのも、2人いっしょに……。

と、いわゆる“手錠シチュ”を組み込んだファンタジー作品だ。
2008年の連載で、アニメ『プリキュア』シリーズ初期と近い時期だったため、手をつなげばすごいパワーが出る設定に「ふたりはダブルアーツ!」と叫んだ読者もいたとかいなかったとか。

ボーイ・ミーツ・ガールという意味では定番だが、序盤はまずヒロイン視点から入り、少年がヒロインをどう思っていたかは最終回のオチにもってくるという構成で、少年マンガとしてはなかなか難易度の高い挑戦をしていた。
結果として全3巻に終わったが、女の子視点も描けるその腕前はラブコメに応用され、『ニセコイ』を成功させている。

また、戦闘シーンを手がけた事は、『ニセコイ』のヒットマン少女・鶫誠士郎が見せるアクションの素地になったし、なによりキャラが生き生きと身体を動かして感情表現を豊かにする手際を生んだ。
ひとりの作家のなかで、作品と作品は目先のジャンルやセールスとは別に、深いところでつながって、表現の血肉になっていくのだ。

現在、『ダブルアーツ』は電子書籍版も刊行されているほか(読切デビュー作を含めた短編集『恋の神様』も同様)、マンガWEBサイト&アプリ「少年ジャンプ+」では、4月から始まる復刻連載のひとつとして告知されている。
「作家の原点」が埋もれずにいてくれるのは、ファンの側からもありがたい。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

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