『14歳の恋』第5巻
水谷フーカ 白泉社 \714+税
（2015年3月30日発売）

14歳という年齢は特別だ。
幼くもあり、育ち始めでもあり。エヴァンゲリオンのシンジくんたちも14歳だしね。

2人の主人公、吉川和樹と田中彼方は、大人っぽい。
クラスのなかでも一目置かれ、吉川はまわりの男子から「かっけー！　大人ー」と言われる。
幼なじみだった2人は、いつしかつきあうようになる。

でも恥ずかしいから2人で会うのは理科室で、秘密で。
この場所でだけは、幼い自分を、今までどおり幼なじみのお互いをさらけ出せる。背伸びの必要はない。
手を出す？　性行為を働く？　いいえ、恥ずかしいからそんなことできません！　かわいい！

14歳がいかに子どもっぽいかを描き続けているこの作品。
最新5巻は修学旅行編。2人の交際は内緒のまま、もうワクワク遠足気分。
旅行中、2人がケータイの写メで、浮かれながら相手の隠し撮りをしているシーン。
それがお互いにバレて赤面するシーン。
子どもか！　子どもです。

吉川・田中カップルの幼さを描き続けたこのシリーズ、5巻では群像劇化が進んでいる。
田中のことが好きな志木さんが吉川に嫉妬をする話。
修学旅行委員として張り切るのが、実は片思いの先生のためという江藤さんの話。
先輩ぶって空回りしているのが恥ずかしい、内海先輩の話。
感情の暴走が抑えられない長井と、彼が恋ともいえない気持ちを抱く日野原先生の話。

みんな幼い。青春と恋愛という、得体のしれないモンスターに振り回される。
でも、振り回されるから大きくなるんだよね。
少年少女、みんな振り回されちまえ。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」