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『ピンク・ラッシュ』 TONO 【日刊マンガガイド】

2015/04/24


PinkRush_s

『ピンク・ラッシュ』
TONO 新書館 \780+税
(2015年3月30日発売)


アイドルのサナは、とにかく男が嫌い。イケメンだろうが偉い人だろうが関係ない、男が大嫌い。
大好きなのは女の子。ありとあらゆるかわいい女の子と仲良くしたい。

アイドルを描いたマンガやアニメは今多数出ているものの、ここまで徹底して「男性ファン」を否定した作品は珍しい。
あんまりにも男が嫌いであるがゆえに、サナから見た男性ファンは全部ぬいぐるみに置き換えられて描かれる始末(なので読みやすいっちゃ読みやすい)。
彼女が特にお熱なのが、まじめな女優のマール。サナはファンクラブナンバー一桁だ。
アイドルになったあとも、ファンは適当にあしらいながら、サナはマールを追いかけ続ける。

このマンガ、サナが人気アイドルとして続いている、ちょっとしたトリックがある。
彼女、かわいい女の子がいるところにいくと、ものすごく輝くのだ。好きなもののそばにいると、テンションがあがってキラキラしてしまう。

ファンからみたら、普段のゴミのようにあしらう彼女のドSなキャラクターと、スタッフやアイドルの女の子からエネルギーをもらってツヤツヤキラキラしている彼女のギャップ。ここがどうもたまらないらしい。
もちろん、本人は何も意識していない。天性の才能だ。

「女の子が好き」という男女双方が持つ感覚の代弁者として作られた、サナ。
「自分と同じように女の子が好きな女性のことは、好きになれない。私はナルシストじゃない」とズバッと語ることもある。
サナの言動で、アイドルファン批評を差しこんでいる部分もあるこの作品。
ぼくはせめて、ぬいぐるみになって彼女の冷たい視線を浴びたいものです。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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