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『アル中ワンダーランド』 まんしゅうきつこ 【日刊マンガガイド】

2015/06/10


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『アル中ワンダーランド』
まんしゅうきつこ 扶桑社 \1,100+税
(2015年4月9日発売)


まんしゅうきつこ、待望の初コミックスは、描き下ろしのアル中顛末期(『ハルモヤさん』と同時発売)。ブログ「オリモノわんだーらんど」に魅了されたファンにとっては、「あの“まんきつさん”が裏ではこんなことになっていたなんて!」と驚愕することばかりであり、ハラハラしながら一気読みしてしまうはずだ。

筆者が初めて彼女を認識したのは、清野とおるが「NEMESIS」で連載していたエッセイ『東京都北区赤羽以外の話』に登場する江森姉弟の姉として。
楽しく飲んでいる最中に突然断末魔の叫びをあげてナプキンを買いにいく江森姉が、清野のススメによりブログを開設し、マン臭きつこ(旧・筆名)として人気を博すまでに、そう時間はかからなかった。

それにしても、あの絶妙な間を駆使して超絶おもしろエピソードを披露するまんきつさんが「ブログが人気を博すまでは普通の主婦だった」と独白し、一躍サブカル界の寵児となってからは「おもしろいことを発信しなくてはならない」という強迫観念にとらわれ、酒に逃げるようになったというのだから、人間なんてわからない。
不謹慎ながら酒の力を借りた奇行の数々はめちゃくちゃおもしろく、最後までむさぼり読んでしまった。

最終的にアル中と診断され、酒を断つに至るまでの描写はかなり淡泊。
酒断ちでもがき苦しむ日々の描写やアル中治療のリアル等を期待すると、肩すかしを喰らうかもしれない。
“まんしゅうきつこ”という一個人の闇に興味を惹かれた方に、強くオススメします。

なお、表紙でビールジョッキを持っている美女は本編には登場しません。
表紙カバーをはずした際に現れる女性が主人公ですよ!



<文・奈良崎コロスケ>
マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。映画『新宿スワン』(園子温監督/公開中)の劇場用プログラムに参加します。
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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