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『メタラブ』第1巻 小路啓之 【日刊マンガガイド】

2015/06/22


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『メタラブ』第1巻
小路啓之 講談社 \640+税
(2015年5月22日発売)


とてつもない画力と構成力を持ちながら、一筋縄ではいかなすぎる問題作を次々と送り出してきた小路啓之。そんな小路がついにブレイク!? 
5月22日に秋田書店から『束縛愛』、講談社から『メタラブ』と1巻2冊同時発売。「いま、小路啓之がキテるフェア」なるものまで開催されたのだ。

今回、当コーナーで取り上げるのは「モーニング・ツー」にて連載中の『メタラブ』。
主人公は人の望みが聴こえてしまう大学生の“のぞむ”だ。「他人の心が読めたらな~」なんてだれしも一度は妄想したことがあるはず。とはいえ、仮にそんなことができたとして、自分の悪口や知りたくもなかった情報がガンガン聴こえてきたら、正気を保てるのか疑問だ。

ところが“のぞむ”の場合、他人が「望んでいること」だけが聴こえてくるのだから、じつに便利である。
買い物中に2着の服で迷う彼女(実際にすでに欲しい服は決まっており、同意を望んでいるだけ)にはキチンと正しい答えを提示してやり、夢を諦めたいと願っている友人には、周囲が無責任に励ますなか「できなきゃ、しないのが自然」と背中を押す……。
自分にとって都合のいい言葉ばかりを先回りしてかけてくれる、そんな彼の対人関係は極めて良好だ。

そんなある日、講義室で彼女とセックスしている現場を臨時の心理学講師・園希美に目撃されてしまう。
“のぞむ”は希美から望みを抽出し、それを叶えることで口止めを図るが、なぜか何も聴こえてこない。やがて希美は「1カ月以内にワタシの望みを探し出すこと」を、“のぞむ”に宿題として課すのだった。

特殊能力のおかげで女性に不自由したことがない“のぞむ”だが、じつは自分から相手を好きになった経験はない。
そんな彼が初めて出会った、望みがわからない女性。“のぞむ”は次第に希美に惹かれていくことになる。

バリエーション豊かなエロエロ女子も多々登場し、目にも楽しいミステリアスなラブコメディ。
やりたい放題を重ねてきた“のぞむ”にこれからどんな責め苦が待ち受けているのか、楽しみでたまらない。

正味の話、こんなにいけすかない男を簡単に幸せにしてもらったら困りますよ!



<文・奈良崎コロスケ>
マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。BSスカパー!オリジナル連続ドラマ『アカギ』の取材で津川雅彦さんにインタビューしました。津川さんが鷲巣役なら文句ナッシングでしょう。7月のオンエアがめっちゃ楽しみ。

単行本情報

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