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『ナゾトキ姫は名探偵』第9巻 (画)阿南まゆき(トリック原案協力)山本栄喜 【日刊マンガガイド】

2015/06/30


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『ナゾトキ姫は名探偵』第9巻
(画)阿南まゆき(トリック原案協力)山本栄喜 小学館 \429+税
(2015年6月1日発売)


本が大好きな、人見知りの女の子が、眼鏡を取ると頭脳明晰な「ナゾトキ姫」になって事件を華麗に解決する――というのが阿南まゆき『ナゾトキ姫は名探偵』である。
2010年から「ちゃお」などで連載されている人気シリーズの第9巻が6月1日に発売された。

花倫高校の図書委員の詩音ひなみは、あがり症で読書好きの女の子。
学校きっての問題児の藤崎律可(リッカ)と、いつも黒いフードをかぶっているパソコン部の梅崎仁(梅くん)とともに「図書館探偵団」を結成してナゾトキに挑戦するのである。

「学校きっての問題児」や「黒いフードをかぶった人物」と聞くと、いかつい不良とオタク男子を想像するかもしれないが、2人ともスマートなイケメン高校生である(さらにいえば、「問題児」といっても、リッカは校内でローラースケートをして、教師に怒鳴られている程度。ほほえましいものだ)。リッカは事件の発生に対して不思議なカンが働き、梅くんはパソコンを駆使して情報収集を行う、とそれぞれが得意な点をいかしてひなみをサポートする。

「ナゾトキ姫」とは、不思議なアイテムの力を借りてひなみが変身した姿――というわけではない。あがり症の彼女が、人前で推理を話すために、やむにやまれずあみ出したものなのだ。
眼鏡をはずすと、人の顔がぼやけて、あがらずにすむ。髪もしばったままだとうざったいので、解いてしまう。その結果、おとなしい眼鏡っ娘のひなみは消えて、華麗な「ナゾトキ姫」が登場するわけである。

「ナゾトキ姫」は、事件を解決する前に必ず「このナゾのラストページ 私がめくって 差しあげます」と口にする。
こうした決めゼリフは、『金田一少年の事件簿』以来の名探偵モノのお約束ではあるのだが、ひなみにとっては格好つけではなく、「ナゾトキ姫」としての心の準備が整ったことを自分自身に言い聞かせるための言葉なのだろう(ちなみに、「ナゾトキ姫」という名前もひなみの自称ではない。第1話での解決シーンを見た梅くんが名づけたものである)。

ところで、ひなみは文化祭のダンスパーティーなど本命ひとりを選ばないといけない状況になると、常に「おふたりのうち どちらかなんて 選べませんでした!!」と決断を避けて、3人仲よしの状態が継続されてきた。
ところが、最新刊の第9巻では、リッカに積極的にアタックする少女が現れ、動揺したひなみが「ナゾトキ姫」になれない、という場面が登場する。いよいよ「仲よし3人組」状態からの卒業か、と思わせるエピソードである。
ちなみに、第9巻では、準レギュラー的な怪盗・三月うさぎが、ひなみたちの捜査に協力してくれる三毛角刑事のプロフィールをしっかりおさえている、という話もあって、これも2人の関係の将来に対する伏線か? と思えてしまう。
キャラクター同士の人間関係に変化が生じてきそうな雰囲気が漂う第9巻であった。

最後に、作者のプロフィールを紹介しておくと、阿南まゆきは、大分県出身で福岡県在住、2004年「マフラーと砂の城」(「ちゃおデラックス」春の大増刊号掲載)でデビュー。
以降「ちゃお」「ちゃおデラックス」等に作品を発表している。



<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「ミステリマガジン」(早川書房)にてミステリコミック評担当(隔月)。『本格ミステリベスト10』(原書房)にてミステリコミックの年間レビューを担当。最近では「名探偵コナンMOOK 探偵少女」(小学館)にコラムを執筆。

単行本情報

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