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『堀居姉妹の五月』第1巻 御徒町鳩 【日刊マンガガイド】

2015/07/04


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『堀居姉妹の五月』第1巻
御徒町鳩 講談社 \581+税
(2015年6月5日発売)


くしくもタイトルにも、“居”。だからといって、「居たたまれない」なんて書いてしまったたら、褒めているようには思われないかもしれない。
いや、しかし居たたまれないのが、御徒町鳩『堀居姉妹の五月』だ。『腐女子っス!』『ファンタジー』でも、コミカルな状況やサスペンスフルな設定のなか、女の子の奥底にある“生々しいもの”に触れてきた著者。本作では大人の4姉妹を主人公に、女性や恋愛のより深いところまで描き出している。

かつては、「新婚ホヤホヤ」「新任教師」「高校バレー絶好調」「アイドルになりたて」だった、堀居家の4姉妹。
しかし今や順番に、長女・春子は既婚だけれど長期里帰り中で、次女・桜子は教師を辞めたうえにお見合いも12連敗中。三女・菜実子はバレー選手として入団した実業団が3年でなくなり、四女・香奈子はアイドルを引退して無職の状態だ。それぞれに事情を抱えながら、4姉妹はままならぬ恋に思い悩むことになる……。

居たたまれないと書いたのは、この何もかもがままならない感じにもある。
4姉妹がそろって親戚の通夜に出席するところから物語は幕を開けるが、
「親戚外交…… 疲れる……」(春子)、「みんないい人だし悪気もないんだけど やっぱ人生のダメなとこ突き回された感があるよね~……」(桜子)のやりとりには、妙齢の大人はうなずきながら苦笑いだろう。
いやはや、居たたまれない。こういう描写が物語に深みもおもしろさも与えていく。

そして描かれる、恋模様。男勝りで現在は高校教師の菜実子と、元実業団マネージャーでオネエ言葉の優しいカレシ・シゲちゃんの関係性は、互いのセクシャリティのそれこそ深くもろいところにまで触れたものになっていて、居たたまれないところか、痛々しささえ覚えさせるほどだ。
裏を返せば、それだけ誠実に著者はキャラクターを、マンガというものの作劇を見つめている。そうして描かれる物語は、居たたまれなくなるほど共感し、身近に感じることができて、それなのに泣き笑いして魅せられる。
リアルに女性たちが、人間が、そこにいる作品。

次巻以降で描かれる、長女と四女の物語も楽しみだ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

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