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『あかほりさとるの崖っぷち』第1巻 あかほりさとる(作)エンチ(画) 【日刊マンガガイド】

2015/07/09


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『あかほりさとるの崖っぷち』第1巻
あかほりさとる(作)エンチ(画) KADOKAWA/エンターブレイン \650+税
(2015年6月15日発売)


『MAZE☆爆熱時空』『爆れつハンター』『セイバーマリオネットJ』などなど、90年代に数々のメディアミックス作品を成功させ、ラジオパーソナリティやイベント出演などでも活躍、一世を風靡した伝説級のヒットメーカー・あかほりさとる。

2000年代に入ってからも、『MOUSE』『らいむいろ戦奇譚』『かしまし ~ガール・ミーツ・ガール~』など、なんだかんだとヒット作を手がけており、近年もマンガ原作を中心に堅実な仕事ぶりを見せているのだが(つい最近も、「ビッグコミックスピリッツ」でベテラン・北崎拓とコンビを組んだ時代もの『天そぞろ』の連載が始まったばかりだ)、あまりにも90年代の輝きがすさまじすぎたせいか、世間的には「消えた人」扱いだったりする。

この作品はそんなパブリック・イメージを逆手に取った、あかほりの半自虐的な実録コミック作品である。

描かれるのは、筋トレにハマり、新宿2丁目で飲み歩き、イケメン好きな女弟子にシバかれる毎日を送る落ち目の作家・ポリと、右も左もわからない新人漫画家・エンチ(見た目は豆腐)の2人が、ヒットを手にするため、「萌え」とは何かを理解しようと繰り広げる悪戦苦闘の数々。

某国際救助隊関連の展覧会に足を運び、AVメーカーを訪ね、先行するヒット作から法則を探り、ときにはおっかなびっくり実作にも挑んでみる……その様子は、涙なくして見ることができない。
ある意味、オタク版の『最強伝説黒沢』のような味わいがある。

それにしても、この作品は基本的に、シンプルなギャグテイストの絵柄で描かれているのだが、表紙を見ればおわかりいただけるように、エンチが描く美少女キャラは、じつのところかなりかわいい。
本人のpixivにも、魅力的なイラストが多々掲載されている。ここがのちのち、「萌え」への突破口になっていくのではなかろうか。

そんなことを期待しつつ、次巻を待ちたい。
あかほり伝説は、まだまだ終わらないと信じて……!



<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei

単行本情報

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