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『ミサイルとプランクトン』第2巻 田中ロミオ(作) 筒井大志(画) 【日刊マンガガイド】

2015/07/16


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『ミサイルとプランクトン』第2巻
田中ロミオ(作) 筒井大志(画) KADOKAWA \570+税
(2015年6月26日発売)


近年のアニメ界の重大トピックのひとつに、ノベルゲーム畑出身シナリオライターのアニメ脚本への参入がある。
シリーズ構成(ないし原案)を務めたオリジナルアニメに限っても、麻枝准(『Angel Beats!』2010年、『Charlotte』2015年)、虚淵玄(『魔法少女まどか☆マギカ』2011年、『PSYCHO-PASS サイコパス』2012年ほか)、タカヒロ(『結城友奈は勇者である』2014年)、久弥直樹(『sola』2007年、『天体(そら)のメソッド』2014年)、打越鋼太郎(『パンチライン』2015年)、林直孝(『プラスティック・メモリーズ』2015年)、丸戸史明(『Classroom☆Crisis』2015年)など多くの人物がすぐに思い浮かぶだろう。
しかし他方で、(ライトノベルを発表するライターもまた多数存在するにもかかわらず)マンガ界へ参入してくる作家は思いのほか少ない。

その点でこの『ミサイルとプランクトン』は、『IDOROLL』『ニセコイ』スピンオフの『マジカルパティシエ小咲ちゃん!!』を連載中の筒井大志による作画のもと、『CROSS†CHANNEL』や『最果てのイマ』などのノベルゲームで知られ、アニメファンには『人類は衰退しました』の著者としてもおなじみのるシナリオライター・田中ロミオが原作を手がける貴重な一作と言える。

作品の世界観はノベルゲームの文脈を感じさせるものだろう。それは第1巻までで判明している内容の一部を振り返るだけでもすぐにわかる。
「ミサイル部」部長の青海翔太(おうみ・しょうた)と、副部長で彼に思いを寄せる達子祥(たつこ・さち)は、落下しつつある巨大隕石を粉砕するため、「みじんこ」を連呼する恩田美登里の力で時の止まった世界のなか、能力者の部員たちをまとめてミサイル制作を進めるのだが――。

ここからはすぐに、たとえば高校生だけで構成された隔離世界という点では『CROSS†CHANNEL』、空に浮かぶ巨大な物体という点では久弥直樹による『天体のメソッド』、思春期にのみ現れる超能力使いの集団という点では現在放映中の麻枝准による『Charlotte』などが思い浮かぶことだろう。

では本作はそうしたノベルゲーム的な既視感に満たされた作品なのか――この問いに「Yes」と答えるような田中ロミオ読者であればあるほどむしろ、この既視感が近い将来必ずや、鮮やかにひっくり返されるという予感を抱くはずだ。田中ロミオとはそういう作家である。

もちろん本作は単にすべてがノベルゲーム的であるわけではなく、たとえば作劇を見てみれば、主に主人公視点で進行するノベルゲームとは異なり、各キャラのバックグラウンドを掘り下げる群像劇として構成されているという違いを発見することができるだろう。

しかしそうした差異以上に、過去の自作やノベルゲームの典型的モチーフを材料に、田中ロミオがここからどんなメタ操作を繰り出してくるのかに期待してしまう。
今後の飛躍に(アニメ化も含め)注目していきたい一作だ。



<文・高瀬司>
批評ZINE「アニメルカ」「マンガルカ」主宰。ほかアニメ・マンガ論を「ユリイカ」などに寄稿。インタビュー企画では「Drawing with Wacom」などを担当。
Twitter:@ill_critique
「アニメルカ」

単行本情報

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