『ワカコ酒』第5巻
新久千映 徳間書店 ￥562+税
（2015年7月18日発売）

まさかの実写ドラマ化に続き、現在はTVアニメも放映中（3分という超ショート枠と沢城みゆきの脱力した声が○）。ますます絶好調の飲んべえOL・ワカコのひとり酒マンガ『ワカコ酒』も、ついに第5巻に突入。

といっても、特にこれまでと変わりはなく、今宵もいろんな場所で「ぷしゅー」と幸せになるワカコの姿が描かれてゆく。
そこで何か事件が起こるわけでもなく、だれかと交流するでもない。ただ、ひとりで飲み食いするだけ。そんな潔いまでのシンプル＆マンネリズムこそが、『ワカコ酒』の魅力なのだ。

ということで、作品のキモはおのずと「どこで何を飲んで食べるか」になるのだが、本巻では、冷え冷えの生ビールでアツアツのアジフライをいろんな味で楽しんでみたり、人肌燗で生岩のりをチビチビやってみたり、読むやいなや飲みに行きたくなる、そそる酒シーン満載。
意を決しての「ひとりカワハギ姿造り」とか、お腹いっぱいだけどもう少し飲んでいたいときの「麦焼酎水割りとセロリの浅漬け」なんて、のんべえなら膝をバンバン叩いて共感せずにいられない！

「おひとり様」の醍醐味とは、その日の気分で好きなものを好きなように飲んで食べる「自由」なのだ、と目からウロコ。
お酒の飲める大人になった幸せをしみじみと噛み締めつつ……（逆に、下戸の方はコレを読んでどう思うのか知りたい！）。

女ひとり酒は飯に比べるとまだまだハードルが高いが、ワカコのように気負わずマイペースに楽しみたいものです。

＜文・井口啓子＞
ライター。月刊「ミーツリージョナル」（京阪神エルマガジン社）にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」（DU BOOKS）寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69