このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

『銀平飯科帳』第1巻 河合単 【日刊マンガガイド】

2015/08/29


GinpeiHankachou_s01

『銀平飯科帳』第1巻
河合単 小学館 ¥552+税
(2015年7月30日発売)


ラーメンマンガの決定版『ラーメン発見伝』『らーめん才遊記』(原作・久部緑郎)の河合単の最新作『銀平飯科帳』は、やはりグルメもの。
タイトルから想起させるのはマゲものながら、舞台となるのは現代の東京・神田で、それなのに江戸の食事を味わっていて!?
そう、本作はグルメものにしてなんとSFタイムスリップもの。主人公が東京と江戸を行き来しながら、シンプルなのに工夫に満ちた江戸の食を学んでいくというストーリーだ。

創作居酒屋の店主である、武藤銀次。固定概念にとらわれないアイデア料理で勝負しようとしている銀次だが、料理はもちろん、経営や接客の基礎もなっていないありさまだ。
そんな彼が、偶然見つけた井戸。それは現代と過去をつなぐ抜け穴で、銀次はいきなり江戸の町へ。
そこで将軍の料理番を務める兄妹と出会い、銀次は銀平と名を変え、彼らとともに江戸のグルメガイドを作ることになるのだが……。

銀次が出会うこの兄妹、じつは食も魅力の時代小説『鬼平犯科帳』の主人公・鬼平こと長谷川平蔵の孫という設定。また銀次は、タイムスリップしたその先々で、歴史上にも名高い偉人たちと遭遇することにもなる。
そこに絡んでくるのが、江戸の食だ。第1巻で紹介さるのは、江戸のスープかけご飯「こしょう飯」や、銀次の機転から生まれて、江戸でまかなわれる酒かす製の「江戸風カルボナーラ」など、料理自体も、おもしろい趣向のものが次々と登場している。

さて、この「江戸風カルボナーラ」に意外な反応を見せるのが、浮世絵師として知られた写楽だ。
彼はそれが現代の「カルボナーラ」という食べ物であることを知っていて!? 

まだまだおもしろい仕掛けはたくさんありそうだ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が発売中。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

  • 『銀平飯科帳』第1巻 Amazonで購入
  • 『ラーメン発見伝』第1巻 Amazonで購入
  • 『らーめん才遊記』第1巻 Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング