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『高橋留美子劇場4 運命の鳥』 高橋留美子 【日刊マンガガイド】

2015/08/27


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『高橋留美子劇場4 運命の鳥』
高橋留美子 小学館 ¥552+税
(2015年7月17日発売)


『うる星やつら』以来、現在連載中の『境界のRINNE』まで「週刊少年サンデー」で休むことなく描き続ける高橋留美子。30年以上少年マンガの第一線を走り続けながら、青年誌でもクオリティの高い短編群を発表するとはいったいどれだけ天才なのか……。

本書の主人公たちは、みな一様に普通の人たちだ。しかし、そんな“普通”の人が、ほんのちょっと“普通じゃないこと”に踏み入れただけで、世界は大きく動き出す。

タイトル作「運命の鳥」は、なかでも少し不思議な風味のストーリーだ。
喫茶店を営む鳥居さんは、微妙な特殊能力を持っている。人の頭の上に現れる――彼にしか見えない鳥は、どうやら“自業自得”を表すサインらしいのだ。鳥の数が多いほど事態はヤバめ。当人の言動によって鳥がいなくなり、トラブルが回避される場合もある。
いろいろな人が訪れる喫茶店ゆえ、“運命の鳥”を目にしてはハラハラする鳥居さん。とはいえ、いきなり人の投資話や色恋沙汰に首をつっこむわけにもいかず、せいぜい言えるのは「気をつけたほうがいいですよ」くらいだ。

鳥居さんが能力を使って大活躍するわけではないけれど、そのぶんなんとも現実的。
人は正しかろうと間違ってようとそれぞれに生きていて……だけど、他人に関わろうとすることは無駄じゃない。
フラットでいながら、やわらかに人間の善意を肯定する、大人のための短編集だ。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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