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10月20日は頭髪の日 『ふたりの薄毛物語』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/10/20


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

10月20日は頭髪の日。本日読むべきマンガは……。


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『ふたりの薄毛物語』
春原弥生 文藝春秋 ¥905+税


10月20日は「トー」ガツ×「ハツ」カで「頭髪の日」。
半世紀の歴史を持つ社団法人「日本毛髪科学協会」により、1977(昭和52)年に制定された。同協会では10月10日から1カ月間を毛髪衛生月間とし、街頭での無料毛髪相談なども行っているそうだ。
「街頭」で「頭髪」の悩みを聞いてもらう……。なんだかシュールではあるが、特に男子にとっては周囲にうちあけられない悩みも多々あるので、これを機にヘアチェックをしてみるのもいいだろう。

てなわけで、本日オススメするのは頭髪のマンガ。イラストレーターの春原弥生(すのはら・やよい)が2010年にリリースした『ふたりの薄毛物語』だ。
ノンフィクションの薄毛モノというと、新井キヒロの『僕は髪の毛が少ない』が思い浮かぶ。あちらは薄毛の著者が黒歴史を告白したり、前向きになるために四苦八苦したりと、同じような悩みを持つ男性諸氏にとっては胸が詰まるようなエピソードが多かったが、こちらは“ふたりの”とあるように、旦那様の薄毛問題を奥様視点で愛情たっぷりにつづったほんわかエッセイである。

春原が派遣先の面接官として薄毛のタカ氏と出会い、やがてつきあい始めるまでのラブストーリーから、ハタチで早くもハゲ始めたタカ氏の青春時代、さらには前向きに薄毛を気にする結婚生活まで、2人の歴史がキュートなタッチで描かれる。

斬新な育毛術が掲載されているわけではないが、ダイエースプレーを使ってガチガチにヘアセットし、広いオデコをカムフラージュしていたタカ氏が、いつしかコンプレックスを個性に変換し、かわいい奥さんをもらい、薄毛をネタにして夫婦で笑い転げる様に、勇気づけられる読者も多いはず。
なにしろ冒頭から春原は「私は薄毛の人が好きです」「薄毛の人って優しい気がしませんか?」と独白するのだ。薄毛男子にとって、これ以上の(精神的な)特効薬があるだろうか?

ただしリア充なタカ氏が「結婚もしたし、もう頭髪なんてどうでもいいや」という境地に達したかといえば、そうではない。
前述したが、前向きに薄毛を気にする日々である。草野球後は汗で張りつく薄毛をカバーするために帽子をかぶり続け、バラエティ番組で薄毛芸人が出てくると「あんなのハゲじゃないよ」と毒づくのだ。

タカ氏は言う。
「まわりの人と薄毛について楽しく話せるのは嬉しいよ。
 でも、笑われるのは嫌だ。その違いをわかってくれ」
これこそが、薄毛男子の本音だろう。

世の薄毛男子に幸多からんことを!



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしているライター。「ルパン三世ぴあ」に参加。10月にスタートするルパン新シリーズの友永秀和総監督にインタビューしました。

単行本情報

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