日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『絶対可憐チルドレン』

『絶対可憐チルドレン』第43巻
椎名高志 小学館 ￥429+税
（2015年9月18日発売）

エスパーの存在が一般化した世界を舞台に、「超度（レベル）7」という世界的にもレアな超高位エスパーである、明石薫、野上葵、三宮紫穂の3人からなるエスパーチーム「ザ・チルドレン」の成長を描く本作。
今年は連載開始10周年のアニバーサリーイヤーで、豪華な限定版の刊行などさまざまな記念展開が続いたが、作品の内容はいい意味で平常運転だ。

高校生となった薫たちは、将来の指揮官候補として、新たに自分たちの仲間となったクラスメイトの松風浩一とのチームワークを模索中。
任務で、学校で、巻きこまれたトラブルに、超能力を持たない「一般人」ながらも果敢に挑んでいく松風。

チャックに大切なところを挟まれてみたり、服を脱ぎ捨てさせられてみたり、なんだかこの巻ではヨゴレな姿が妙に目立つが、キラリと光る知性で見事な活躍を見せる場面もところどころに。
そんな姿に、長年チルドレンの保護者役を一手に引き受けてきた皆本光一や、チルドレンの因縁の相手である兵部京介も刺激を受け、これまでにない姿を見せていく。

そんな日常の変化のなかに、ほのかに垣間見える、仇敵の影。
静かにではあるが変化してく物語を、腰をすえて追いかけてほしい。

＜文・後川永＞
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」（KADOKAWA）、「Febri」（一迅社）など。
Twitter:@atokawa_ei