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『カコとニセ探偵』第4巻 光永康則 【日刊マンガガイド】

2015/11/17


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『カコとニセ探偵』


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『カコとニセ探偵』第4巻
光永康則 集英社 ¥514+税
(2015年10月19日発売)


死者の霊を見ることができる、というチート能力を持つ、少年探偵の六波羅覚(ろくはら・さとる)。
殺人事件なら、殺された人の話を聞けば、そりゃあだいたいの犯罪は、解き明かすことができちゃう。
ところが謎が解けすぎるために、逆恨みを買ってしまって、幼い頃に一家は離散。以来、心を押し殺して生きてきた。

そんな覚も、最終巻となる第4巻では、彼に取り憑いている少女の姿の神様・化子(カコ)や、霊視ができて戦うこともできるヤンキー少女・銀杏(ぎんなん)とともに活動するうちに、少しずつ人間味が出てきた。
それでもまだ、化子には「人格破綻者」と呼ばれているけれども。

オムニバス形式で事件を解決してきたこの作品。最終話ではカコが封印された秘密を探る事件が起きる。
いかんせん、人間同士の事件なら覚だけでなんとでもなるが、霊的怪異がらみとなると、覚とカコ、2人(?)が力をあわせないとどうにもならない。
記憶のなかに相手を閉じこめてしまうという、厄介な怨霊が相手。覚が全力でどうすればいいか、かつて何があったかを推理し、カコが神の力で浄化する。

この作品には、ほかにも霊に取り憑かれていて、その力を行使できる人間が出てくる。
それぞれ能力は様々。人間以上の力を確実に持っているため、とても便利だ。
しかし霊には当然人格がある。ただ利用するようでは、霊に取り殺されてしまう。

その点、カコと覚は一見仲は悪いが、息はピッタリ。2人はお互いを認めあい、近すぎず遠すぎずの関係を保っている。
徹底してバディものとして描かれた。特にラスト、サトルが何度も死ぬシーンでのお互いの信頼っぷり。
2人の間にあるのは、強い絆か、でなければ呪いだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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