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11月15日はきものの日 『じょしらく』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/11/15


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

11月15日はきものの日。本日読むべきマンガは……。


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『じょしらく』第1巻
久米田康治(作) ヤス(画) 講談社 ¥680+税


「着物」は現在、一般に「和服」とほぼイコールになっている。
わざわざ「日本の服」という概念が必要なあたり、旧来の着物に対して洋服が大きなシェアを占めるようになった様相がうかがえる。
そんな和服/着物を守り伝えるべく、「全日本きもの振興会」が毎年の11月15日に定めたのが「きものの日」である。
七五三の日なので、ご家族みんなで着物を着てお参りに出かけてね、という次第だ。

また、今年になって経産省が「職員が和服で出勤する日を導入しよう」と検討しており、こちらにも「きものの日」というネーミングが挙がっている(参考記事はこちら)。
浴衣によるクールビズなどを想定しているようだが、たぶん5年後のオリンピックに照準を合わせた国内外へのアピールも念頭にあるんでしょうねー。

さて、リアルでは身近でもあり遠くもある着物だが、フィクションでは登場人物が和服を常時着用する作品にふれる機会は多い。
時代ものは当然として、現代劇でも、たとえば落語を題材にした作品などは“和服マンガ”の入り口にうってつけだろう。
最近の注目作だと、刑務所上がりのチンピラが噺家に弟子入りする『昭和元禄落語心中』アニメ版の放送が来年に近づいている。

今回はその「和服×落語」なマンガのひとつ『じょしらく』を取り上げたい。
別冊少年マガジンで2009年から2013年まで連載され、アニメ化(2012年)もされたコメディ作品だ。

載ったのは少年誌だが、メインキャラは全員女の子。
総勢5名(+α)の落語家ガールが「おあとがよろしいようで」と寄席の壇上から降り、楽屋へ戻ったあとのダベりを集中的に描いたシットコム形式になっている。
とりとめない状況の随所にブラックユーモアを施す手際は、原作・久米田康治先生の面目躍如である。

展開は基本一話完結で、筋立てらしい筋立てはない。
毎回「この漫画は女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただく漫画です。」とナレーションが念を押すほどゆるいエピソードが連続する。

気持ちが不安定になると「犬」という字の点をどこに打てばいいか迷ってしまう……だの、インフルエンザの予防接種を優先して射ってもらうためには妊婦になればいい、ならば想像妊娠してみようだのと、本当にダベりとしか言いようのない、タガの外れた会話がぽんぽん転がっていく様がいっそ気持ちよい。
それを登場人物が長い袖をふりふり着物姿で行い、最後には何かしら脱力させるサゲをつけるものだから、楽屋が舞台でありつつも落語のネタを見るような読み味になっている。
つまり作品全体の笑いの方向性と、キャラクターが落語家である設定とを必然的に接着させるものとして、着物姿というビジュアルが作用しているわけだ。これは洋服では成り立たない。

なお、久米田康治氏原作・作画担当ヤス氏という、本作と同じ組み合わせで来春から「ヤングマガジンサード」での新連載が予定されているとのこと。楽しみにしておこう。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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